精選版 日本国語大辞典 「番代」の意味・読み・例文・類語
ばん‐だい【番代】
- 〘 名詞 〙
- ① 順に交代すること。
- [初出の実例]「冠木御門闔之儀、御番代之節致明立、相改」(出典:御当家令条‐一四・延宝七年(1679)八月・和田倉御門以下御番所張紙)
- [その他の文献]〔方苞‐左忠毅公逸事〕
- ② 代わって番にあたること。また、その者。
- [初出の実例]「鎮戍応レ遣二番代一」(出典:律(718)逸文・擅興)
- ③ 宮中で、当番の者に代わって臨時に宿日直の番にあたること。ふつう自分の当番日と交換した。
- [初出の実例]「今日右金吾番代又祗候了」(出典:実隆公記‐文明六年(1474)二月一〇日)
- ④ 戦国時代に発達した封的後見人。武士の相続人が未成年のときに、主君より命ぜられ、または主君の許可を得ておくもので、相続人が成人(ふつう一五歳)になるまで、その所領、ことに恩領を知行し、眷属を支配し、主人のために封的勤務に服するとともに、被後見人を扶持する義務を有した。
- [初出の実例]「実子幼少に有りければ伯父孫四郎に番代被二仰付一」(出典:加沢記(1692頃)五)
- ⑤ 江戸時代、抱入(一代抱)の与力、同心、手代などに欠員が生じたとき、その代わりとして採用されること。また、その人。本来は人物、能力などを調査し、広く人材を求めるべきであったが、実際には子弟または親類のうちから選ばれる場合が多く、あたかも世襲のごとくなり、のちにはこの権利を売買(御家人株の売買)することすら行なわれた。
- [初出の実例]「諸組与力、同心、手代等明き有之節、或は贔負によりて召抱え、或は貨財を貪りて番代に入」(出典:御触書寛保集成‐一八・正徳三年(1713)七月)