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異郷人款待 いきょうじんかんたい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

異郷人款待
いきょうじんかんたい

異人款待,外者歓待ともいい,異郷から来訪してくる者を迎え,宿舎や食事を提供して歓待すること。折口信夫は「客人」を「まれびと」と訓ずることから,それが本来神をさす語であり,その神は常世 (とこよ) の国から時を定めて来たりのぞみ,村人に祝福を与えて帰ると信じられていたと述べた。折口によれば,常世からの来臨がまれであったから「まれびと」と言ったのであり,唯一の救世主であった。古代の日本人は現実に「まれびと」が訪問する「おとずれ」を聞き,また実際に来訪する旅人たちのことを幸いをもたらす「まれびと」と考えることもあった。村の若者が「まれびと」に扮し,家の娘か主婦が1人家に残ってこの神に仕えるといったことも行われた。のちには「ほかいびと」 (乞食) にも「まれびと」の性格を与え,彼らを神として歓待するふうもみられた。八重山諸島石垣島の川平 (かびら) では,旧暦8月の節日にマユンガナシという神が海のかなたから訪れてきて,年ごとの豊作と繁栄を祝福するという信仰があり,戌年生れの男性がこの神に扮する。ある来訪者 (神) に宿を拒絶したためにあとで不幸を招き,それを歓待したゆえに幸福を得たという客神歓待説話は,古代ヨーロッパにも広く分布しているが,これも来訪者が幸いをもたらすという観念に結びついている。一方,伝統社会では,異人,よそ者,来訪者を「邪視」の持主として,あるいは村人に危害を加えるおそれのある者として恐れ,また妖術師として畏怖する傾向がある。アフリカのある民族は,すげなく扱われたよそ者の呪詛ほど恐ろしい呪詛はないと信じている。このように特に伝統社会や古代社会では,よそからたずねてくる者は,一方で危険視されるとともに,他方では幸いをもたらす超自然的能力をもそなえているという神秘性が付与される傾向がある。 (→来訪神 )  

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