白兵とは,斬る,突くという機能をする兵器で,刀,剣,槍など白刃を有するものを総称し,これらをもって行う近接格闘戦を白兵戦といった。白兵に対応するものは火兵であり,火薬ガスの圧力を利用して弾丸を発射する兵器を火器といい,これを使用する戦闘を火戦といった。旧日本軍においては,戦闘経過の大部分を占めるのは火戦であるが,結局は突撃を実施して白兵戦を交え,敵を撃滅して戦闘に最終の決を与えるものであると強調された。しかし兵器の進歩にともない,白兵戦にも手榴弾や拳銃,爆薬などが併用されるようになった。外国の軍隊では,一般に白兵戦よりも火戦を重視している。突撃にあたっても,自動小銃による射撃および手榴弾を多用し,最後には白兵戦を実施するが,この際には白兵による格闘技が用いられている。近代兵器による装備の少ない軍隊の戦闘,ゲリラ戦,複雑な地形における戦闘などでは白兵戦の起こる算が多い。
執筆者:森松 俊夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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