白無垢(読み)しろむく

精選版 日本国語大辞典「白無垢」の解説

しろ‐むく【白無垢】

〘名〙 (「無垢」は汚れのない清浄の)
① 染めてない白い反物。主に絹物にいう。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「しづかに帯とき白むくまがふ、雪のはだへを見せかけ」
② 白い色の着物
(イ) 死ぬときの装束(しょうぞく)として着る白の衣服。
※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「初はしろむく死に出立
(ロ) 下着として着る白い絹の衣服。主に小袖。
※浮世草子・好色一代男(1682)四「下には水鹿子の白(シロ)むく、上にはむらさきしぼりに青海波」
(ハ) 葬式のとき、縁者の女性が着る白い衣服。
※雑俳・柳多留‐一二(1777)「白むくでしほれた草をみてあるき」
(ニ) 江戸吉原遊郭で、紋日八朔(はっさく)、つまり八月一日に遊女がそろいで着る白い小袖。里の雪、八朔の雪ともいう。
※談義本・地獄楽日記(1755)二「今日は取分八朔とて〈略〉取て置の白無垢(シロムク)
(ホ) 花嫁が婚礼のときに着る白の衣服。
※咄本・万の宝(1780)丸綿の嚔「ずっと白むく仕たて、丸わたをきせ婚礼」

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日本大百科全書(ニッポニカ)「白無垢」の解説

白無垢
しろむく

上下とも白い着物。吉凶に用いる式服を着た姿を白装束という。もとは吉事にも凶事にも白が女の正装の色であり、今日でも婚礼に白無垢を着ることがある。本来は神祭りなど神聖な機会に着用する忌衣(いみごろも)で、厳重な物忌みを経て心身ともに清浄であることを示した。白衣を尊重するのは、何事にも淡泊・潔白を好む日本人の国民性に基づくものであろうが、また染料の発達しない時代の慣習が、神祭りの機会などに温存されてきたとみることもできよう。シロは白色ばかりでなく素(しろ)を示す語である。神祭りは晴れ着を着る機会であるから、のちには白衣を晴れ着とし、赤子の産着(うぶぎ)、婚礼の花嫁、葬儀の死者や近親者の服装となった。さらに近世に吉と凶とを厳しく区別するようになると、白い喪服であるのに、色着(いろぎ)・色裃(いろかみしも)などの反語を使い、また喪服は一様に黒いものに統一されてきた。

[井之口章次]

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デジタル大辞泉「白無垢」の解説

しろ‐むく【白無×垢】

《「無垢」は、けがれのない意》
表裏白1色で仕立てた着物。花嫁衣装死に装束などに用い、礼服とする。
染めていない白い反物。主に絹物にいう。

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世界大百科事典内の白無垢の言及

【着物】より

…ことに江戸時代初期のころは,はっきり区別され,支配者である武士社会の内部でも将軍,大名から下士,若党にいたるまで数多くの段階にわかれ,町人社会も大店(おおだな)の主人と番頭と手代,職人は棟梁(とうりよう)と弟子,農民は地主と自作と小作など,それぞれ服装に相違があった。たとえば白無垢(しろむく)の肌着は四位以上,それも大名は嫡男とかぎられ,熨斗目(のしめ)(腰に横縞または縦横縞のあるもの)は身分ある武士の式服であり,綸子(りんず)は一般武士には許されないなどである。地質(じしつ)の順位は綸子,羽二重(はぶたえ),竜文絹,二子(ふたこ)絹,紬(つむぎ)の順で,以下,麻および木綿となる。…

※「白無垢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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