山上や高地にある城の落城を語る伝説。敵軍に包囲されて水を絶たれた時に,馬を引き出して白米をそそぎかけたり,また崖上から白米を流して滝に見せかけて,水がなお豊富にあるように見せようとした。しかし鳥がやってきて白米をついばんだり,また老女や娘の密告によってその計略が破綻し,ついに攻め落とされてしまったという。土地の城跡と結びついて史実のように話されるが,全国的に分布することから見てもそうではあるまい。近世の地方の軍記物に記録されている例が多く,語り物などによって各地に伝播されていったと思われる。しかし実際に城跡から焼米が出てくるという例は少なくない。焼米は神への供物として,山の祭り場で用いられたもので,このような神の聖地に白米城伝説が容易に結びついたものと考えられる。
執筆者:花部 英雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
落城を説く伝説の一つ。山上の城が敵に包囲され水の手を断たれたとき、水の豊富なことを示すために馬に白米をかけ、あたかも水で馬を洗う姿に似せたり、崖(がけ)上から白米を落として滝に見せかけて欺こうとする。しかし雀(すずめ)がそれをついばみにきたり、老女などが密告したりして策略がばれ、ついに落城の憂き目にあうという内容である。その城址(じょうし)から焼き米が出土するという事実をあげて、歴史的事実と伝承する向きが多い。しかし全国各地からの100例近い伝承報告からして、とうてい事実とは認めがたい。地方の軍談記類に記録されている例も多く、この伝説を語っていた特殊な職掌の人たちがいたと考えられる。落城で恨みを残していった人々、また密告者も斬殺(ざんさつ)されるという悲劇的な様相から、その亡霊を慰撫(いぶ)するために巫女(みこ)などが語ったのではないかと想像される。なお出土する焼き米については、その場所が神聖な祭祀(さいし)場であって、神への供物として用いられたものであろう。
[野村純一]
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