白米城(読み)ハクマイジョウ

デジタル大辞泉 「白米城」の意味・読み・例文・類語

はくまい‐じょう〔‐ジヤウ〕【白米城】

落城伝説で、山上の城が敵に囲まれて水を断たれるが、白米を水に見せかけ、馬に浴びせたり馬の脚を洗ったりして、水に困っていないことをよそおう話。伊達政宗が攻めた仙台の高森山の城をはじめとして、全国各地に分布している。

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精選版 日本国語大辞典 「白米城」の意味・読み・例文・類語

はくまい‐じょう‥ジャウ【白米城】

  1. 〘 名詞 〙 山上の城が敵に囲まれ水を絶たれた時、白米を水に見せかけて馬の足を洗ったり、滝のように見せたりして平気をよそおったという伝説。また、その城。多くは落城の由来に結びつけて説く。

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改訂新版 世界大百科事典 「白米城」の意味・わかりやすい解説

白米城 (はくまいじょう)

山上や高地にある城の落城を語る伝説。敵軍に包囲されて水を絶たれた時に,馬を引き出して白米をそそぎかけたり,また崖上から白米を流して滝に見せかけて,水がなお豊富にあるように見せようとした。しかし鳥がやってきて白米をついばんだり,また老女や娘の密告によってその計略が破綻し,ついに攻め落とされてしまったという。土地の城跡と結びついて史実のように話されるが,全国的に分布することから見てもそうではあるまい。近世の地方の軍記物に記録されている例が多く,語り物などによって各地に伝播されていったと思われる。しかし実際に城跡から焼米が出てくるという例は少なくない。焼米は神への供物として,山の祭り場で用いられたもので,このような神の聖地に白米城伝説が容易に結びついたものと考えられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白米城」の意味・わかりやすい解説

白米城
はくまいじょう

落城を説く伝説の一つ。山上の城が敵に包囲され水の手を断たれたとき、水の豊富なことを示すために馬に白米をかけ、あたかも水で馬を洗う姿に似せたり、崖(がけ)上から白米を落として滝に見せかけて欺こうとする。しかし雀(すずめ)がそれをついばみにきたり、老女などが密告したりして策略がばれ、ついに落城の憂き目にあうという内容である。その城址(じょうし)から焼き米が出土するという事実をあげて、歴史的事実と伝承する向きが多い。しかし全国各地からの100例近い伝承報告からして、とうてい事実とは認めがたい。地方の軍談記類に記録されている例も多く、この伝説を語っていた特殊な職掌の人たちがいたと考えられる。落城で恨みを残していった人々、また密告者も斬殺(ざんさつ)されるという悲劇的な様相から、その亡霊慰撫(いぶ)するために巫女(みこ)などが語ったのではないかと想像される。なお出土する焼き米については、その場所が神聖な祭祀(さいし)場であって、神への供物として用いられたものであろう。

野村純一

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百科事典マイペディア 「白米城」の意味・わかりやすい解説

白米城【はくまいじょう】

水攻めに窮した山城で,水を豊かに見せかけるため,白米で馬を洗ったり滝のように流して敵をあざむいたという伝説。カラスやイヌが米に群がり,あるいは密告者のため計画が露顕して落城する。焼けた穀物の出土などが伝説の誘因か。
→関連項目伝説

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「白米城」の解説

はくまいじょう【白米城】

三重の日本酒。酒名は、北畠氏の居城・阿坂城の別称「白米城」に由来。「純米大吟醸」はモンドセレクションで3年連続金メダル受賞酒。ほかに純米吟醸酒、特別本醸造酒などがある。原料米は山田錦、五百万石など。仕込み水は阿坂の伏流水。蔵元の「中山酒造」は文政3年(1820)創業。所在地は松阪市小阿坂町。

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