『美しい水車屋の娘』『冬の旅』と並ぶシューベルト三大歌曲集の一つ。ただし、前二者が内容に一貫性をもった連作歌曲集であるのに対し、この歌曲集は1828年、すなわち生涯の最後の年にシューベルトが作曲した14の歌曲(レルシュタープの詩によるもの七曲、ハイネ六曲、ザイドル一曲)を、彼の死後ウィーンの出版者ハスリンガーがまとめて公にしたものである。したがってシューベルト自身が編纂(へんさん)した歌曲集ではなく、また『白鳥の歌』(「告別の歌」の意)も出版者があとからつけた題名である。曲集としての一貫性には欠けるものの、個々の歌曲にはシューベルト晩年の精神の諸相を明確に映し出している名作が多い。レルシュタープの詩による有名な「セレナーデ」Ständchenや、ザイドルの詩による「鳩(はと)の使い」Die Taubenpostのように叙情的な旋律を中心にした曲もあれば、またハイネの詩による「影法師」Der Doppelgängerのように、朗読風の歌と独特の和声法によって、歌詞の心理的な面を深く掘り下げた作品もある。とりわけ、シューベルトが死の年に初めて出会ったハイネの詩は、「都会」Die Stadtのピアノ前奏にみられるように、彼を触発して歌曲表現に新しい地平を開かせている。
[三宅幸夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ワーグナーの楽劇《ローエングリン》は〈白鳥の騎士〉の伝説を扱ったものでとくに有名である。なお,白鳥は臨終の際,妙なる声で歌うという伝説があり,〈白鳥の歌swan song〉の語が,辞世とか芸術家の最後の作品の意でも用いられる。【谷口 幸男】。…
…1805年にはイベルドンに新学校を設立し,数年間は全ヨーロッパの教育のメッカとして発展させ,プロイセンをはじめとする諸外国からも有為の青年教師たちが派遣されたが,ペスタロッチの指導力の欠如と協力者たちの不和・分裂のためしだいに衰退していった。25年,彼はこの学園を去って再びノイホーフに戻り隠棲したが,同年生涯の総括として自伝的著作《白鳥の歌Schwanengesang》を公刊した。そのなかで人間の諸能力と人格の調和的発達の重要性を強調し,そのかなめとしての道徳性の発達を重視する視点から〈生活が陶冶する〉という原理を主張した。…
※「白鳥の歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新