特定の神仏に百度参詣して祈願すること。平安末にはじまり,中世以後は民衆の間にも広まり,個人的に特別な祈願を行う際に行われた。文献に見える記録としては,《永昌記》天永1年(1110)3月18日の山城賀茂社への百度詣が早い例である。はじめは霊験あらたかな神仏などに毎日百度参ったが,のちに1日に百度参る形に略化された。百社参りと同様の心理に基づく習俗で,たんに一度だけでなく百度参詣することによってみずからの信仰心のあつさと祈願の切実さを訴えて神仏の加護や霊験を得ようとしたのである。寺社側でも百度参りのために,百度石を立てて本堂との間を往復参拝できるようにしたり,数取りのための掛札をかけたりする。百度参りは俗に〈お百度を踏む〉といわれ,千度参りも同一の形式と趣旨をもつ習俗である。
→千社詣
執筆者:飯島 吉晴
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神仏に祈願するための呪法(じゅほう)の一種。ある特定の社寺に百度参詣(さんけい)して祈願すること。祈願の形式はその心情が痛切なほど複雑化する。一度の参拝では満足できずに、百度、千度と参詣するようになる。こうした形式を簡便にしたのがお百度石である。これは社寺の境内の、拝殿から一定の距離にある石で、一度拝んでからこの石の所に戻ってふたたび拝みに行く。この行為を百回繰り返すのである。これを俗にお百度を踏むという。回数を間違えないように数取りがある。素朴なものでは、小石や小枝を百ほど用意して拝む度に一つずつ置いてくる。また神前に竹べらが用意されていたり、お百度石の壁面にそろばんの形のものが備えてあったりする。願いを神仏に聞き届けてもらうために何日間もお参りするという行為が、神前とお百度石の往復に集約されたわけである。しかし、人々の切実な願いが背景にあるために、人の目に触れては願いが成就しないなどという伝えが広まっていった。
[佐々木勝]
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…33は厄年や弔い上げの年忌とされ,49も忌明け,七七日(なななのか),四十九餅など葬送儀礼でよく使われる。100は百日目の食初めとか百度参りといった儀礼や祈願にみられ,1000も千社詣,千社札,千人針,千人結び,千歳飴(ちとせあめ)など縁起のよい数とされている。【飯島 吉晴】。…
※「百度参り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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