明治以前の日本史を理解するために必要な史籍の叢書。啓蒙史家のひとり田口鼎軒(卯吉)編。17巻。1897-1901年刊。次いで《続国史大系》15巻を刊行した(1902-04)。《古事記》《日本書紀》から《徳川実紀》までを収録。国史の大きな系(たていと)にしたいという意気込みで,新造語〈大系〉を書名につけた。田口は,予約募集当初,通行本を翻刻しただけの簡便な出版を考えていたが,大学を卒業したばかりの黒板勝美の意見を入れ,厳密な校訂を施すことにし,その実務を黒板にあたらせた。刊行後,黒板は新しい書目を加え《新訂増補国史大系》60巻・別巻2巻(66冊)を編修刊行した(1929-64)。黒板の死後,丸山二郎が国史大系編集会代表として遺業を完成させた。この刊行は第2次世界大戦前後の経済事情から困難をきわめた。一部の書物に人名索引や編年索引などをつけたのは新訂増補版の特色である。
執筆者:益田 宗
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日本史研究のための基本的な史料である古典籍を集成し,校訂を加えて刊行した叢書。1897年(明治30)田口卯吉(うきち)が編集し,経済雑誌社から17冊の叢書として刊行を始めたのが最初で,日本史の基本史料を活字化したものとして世に迎えられた。その後,続編・増補版の刊行をへて,1929年(昭和4)からは,黒板勝美(かつみ)の編集になる「新訂増補国史大系」全66冊が吉川弘文館から刊行を開始し,戦時中の中断をへて64年に完成した。厳密な校訂や索引・目録の整備により研究者にとって必備の書とされ,学問研究の進展に寄与している。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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