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皆川博子 ミナガワヒロコ

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デジタル大辞泉の解説

みながわ‐ひろこ〔みながは‐〕【皆川博子】

[1930~ ]小説家。朝鮮の生まれ。現代の青春の生態を活写した小説からスタートしたが、その後次々と領域を広げ、人間の中の見えない狂気を描き出した幻想小説などで人気を集める。「恋紅」で直木賞受賞。他に「薔薇忌(ばらき)」「死の泉」など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

皆川博子 みながわ-ひろこ

1929- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和4年12月8日朝鮮京城生まれ。木崎さと子の従姉。昭和48年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞。60年「壁―旅芝居殺人事件」で日本推理作家協会賞,61年「恋紅」で直木賞,平成10年「死の泉」で吉川英治文学賞。24年「開かせていただき光栄です」で本格ミステリ大賞。ミステリー,時代小説,幻想小説と,幅ひろく活躍する。東京女子大中退。著作はほかに「薔薇忌」「冬の旅人」「総統の子ら」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

皆川博子
みながわひろこ
(1930― )

小説家。京城(現ソウル)生まれ。京城帝国大学医学部助教授だった父親が東京・渋谷に医院を開業したのを機に、生後3か月で同地を離れる。第二次世界大戦終結後、東京女子大学文学部英文学科に入学するが、病気のため2年で中退。1952年(昭和27)に結婚し、しばらく主婦生活を続けるが、幼いころからの読書好きが長じても忘れられず、ミステリーを濫読する生活をおくる。それが創作の方向に向かったのは1970年代に入ってからで、ある時期を境に突然、堰(せき)を切ったように小説を書き始める。のちに本人は「読みふけっているうちに培われたものが、自然に形をとって溢れ出した、としか言いようがない」と当時の心境を述懐している。
 その言葉を裏づけるように、72年、歴史ものの児童長編小説『海と十字架』で単行本デビュー。同年「ジャン・シーズの冒険」が江戸川乱歩賞の最終候補、同じく「地獄のオルフェ」が『小説現代』新人賞の最終候補に残り、作家への第一歩を踏み出す。翌73年「アルカディアの夏」で『小説現代』新人賞受賞。受賞第一作として発表した「トマト・ゲーム」が直木賞候補作となって、一躍注目を浴びる。その後、76年書き下ろし歴史長編『夏至(げし)祭の果て』も直木賞候補になる。85年『壁――旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞受賞、86年『恋紅(こいべに)』で第95回直木賞受賞と、着実に作家としての地歩を固めていった。幕末から明治期にかけて、吉原から芝居の世界へと足を踏み入れた1人の女性の成長と情念を描き出した『恋紅』は、直木賞選考委員9名のうち8名までが高い評価を与え、圧倒的支持を受けて当選した。
 皆川のもっとも大きな特色は、歴史・時代小説、幻想小説、伝奇小説、ミステリーといずれのジャンルでも、卓抜したイマジネーションによる筆の冴えを見せ、独自の作風を築き上げている点である。事実、90年(平成2)には幻想ロマン短編集『薔薇忌』で柴田錬三郎賞受賞、98年には第二次世界大戦下のドイツにおけるナチスの陰謀劇を描いた大作『死の泉』で吉川英治文学賞受賞と、それぞれ異なる分野で高い評価を得ている希有な作家である。しかしその根底には「私の中に巣くう狂気が、さまざまな夢を見させる。文字に定着してしまえば、未だ寒々と貧しい世界。いつか華麗な狂気の世界を、文字の上にもあらわしたい」(『小説現代』新人賞の受賞のことば)という決意のほどにも表れているように、人の心の奥底にひそむ狂気や恐怖などを描き出すことへの欲求がある。歌舞伎役者3世沢村田之助を描いた『花闇』、浮世絵の世界に材を得た『みだら英泉』(ともに1986)、恵まれているはずなのに心の不安を抱える主婦の焦燥を描く『幻夏祭』(1991)、伝奇小説の大作『妖櫻記』(1993)、19世紀末の帝政ロシアに画学生として留学した日本人女性の、波乱に富んだ運命をたどる『冬の旅人』(2002)など、いずれの作品も見えざる狂気、官能、幻想が重要なテーマとなっている。[関口苑生]
『『夏至祭の果て』(1976・講談社) ▽『壁――旅芝居殺人事件』(1984・白水社) ▽『幻夏祭』(1991・読売新聞社) ▽『冬の旅人』(2002・講談社) ▽『海と十字架』(偕成社文庫) ▽『トマト・ゲーム』(講談社文庫) ▽『恋紅』『みだら英泉』(新潮文庫) ▽『薔薇忌』『花闇』(集英社文庫) ▽『死の泉』(ハヤカワ文庫) ▽『妖櫻記』(文春文庫)』

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