家庭医学館 「真性半陰陽」の解説
しんせいはんいんよう【真性半陰陽 True Hermaphroditism】
男性の性腺(せいせん)である精巣(せいそう)(睾丸(こうがん))と、女性の性腺である卵巣(らんそう)の両方をもっている先天異常をいいます。これには、①片方の性腺は精巣で、もう一方は卵巣である場合、②片方は精巣と卵巣が併存し(卵精巣)、もう一方は精巣か卵巣である場合、③両方の性腺とも卵精巣である場合、の3つの組み合わせがあります。
真性半陰陽の染色体は、46XXの女性型が約60%を占めます。
生殖器の分化発育のしかたは複雑です(図「生殖腺の分化(1)」、図「生殖腺の分化(2)」、図「生殖腺の分化(3)」)。生まれたときから、外陰部の形態異常がみられますが、その状態は、陰茎(いんけい)・陰嚢(いんのう)の発育不良、停留精巣(ていりゅうせいそう)(「停留精巣(停留睾丸)」)、尿道下裂(にょうどうかれつ)(「尿道下裂」)、二分陰嚢(にぶんいんのう)などから、女性の外陰部に近いものまでいろいろあります。
思春期になると、卵巣、精巣がはたらくため、二次性徴(にじせいちょう)の異常が現われてきます。男性では、女性ホルモンが卵巣から分泌され、生理が始まったり、乳房が大きくなったりします。女性では精巣から分泌(ぶんぴつ)される男性ホルモンの作用で、ひげが生えたり、声変わりしたりします。
診断のためには、染色体検査や、性腺が何かなどを調べたりします。最終的には、試験開腹をし、性腺の生検をして精巣、卵巣の両方があることを確認します。
[治療]
この病気の治療でもっとも大事なことは、育てていく性を決めることです。ふつうは外生殖器の形により、男性か、女性かを決めます。
性腺は、選択した性にしたがって、男性は精巣を、女性は卵巣を残します。卵精巣は、性のいかんによらず切除します。外生殖器の形成手術を行ない、必要に応じてホルモン療法をします。
早期に性を決定してあげることが重要ですが、将来の社会生活を問題なく営むためには、精神的、身体的な支えがたいせつです。