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( ②について ) 将軍や諸大名などの内局に仕えたり、箏、三絃の教授にあたったりする者もいれば、諸藩が盲女の救済、保護策としてつくった組織に所属し、遊芸を講じる者もいた。
三味線を弾きながら,歌や物語を聞かせて金品を得る盲目の女芸人。盲御前(めくらごぜ)ともいう。すでに室町時代から知られ,鼓を打って《曾我物語》などを語った。近世に入って諸国を巡り,家々の前に立ったり座敷に招かれたりして,三味線を弾き,民謡や俗曲,当時の流行歌(はやりうた)などを歌って米や金を得ていた。瞽女は地域によって組織を作り,旧幕時代には城下に瞽女屋敷や長屋を与えてその保護に努めた大名もあった。通常,瞽女は3人,5人と群れをなして歩いたが,その順路や日程も毎年定まっていた。新潟県上越市高田の〈高田瞽女〉は各地の瞽女の中で組織の大きさと,最近まで後裔が残っていたことで有名である。その演目は明るい性格のバレ歌もあるが,概して暗く悲しい物語を七五調の曲節に乗せて語り継ぐクドキ(口説)が多く,《葛の葉子別れ》《山椒太夫》《石童丸》などの曲目がよくうたわれた。女性であり,かつ身体障害の苦を負いながら,幼いころから組織の中で厳しい修練を受けて一人前の芸人になるといった境遇が,暗い哀愁にみちた芸風をつくりあげたかと考えられる。広く各地の民衆に支持され,村々の盆踊歌の素材になったり子どもの遊び歌にも転用されたりしているが,各地とも後継者はほとんど絶えた。
執筆者:織田 紘二
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盲目の女性旅芸人。三味線を弾き、歌を歌って門付(かどづけ)をしながら、山里を巡行し暮らしをたてた。「ごぜ」の名は、中世の盲御前(めくらごぜ)から出たといわれるが確証はない。座頭のような全国的組織はもたず、地方ごとに集団を組織して統率するとともに、一定の縄張りを歩くことが多かった。近世の諸藩では、駿府(すんぷ)(静岡市)や越後(えちご)の高田、長岡などのように、瞽女屋敷を与えてこれを保護し、集団生活を営ませることによって支配する所もあった。
今日わずかに命脈を伝える越後の高田瞽女からの聞き書きによれば、高田では親方とよばれる十数人の家持ちの瞽女がいて、親方はさらに座と称する組織を結成し、修業年数の多い瞽女が座元になって座をまとめていたという。仲間内には掟(おきて)があった。違反者は罰せられて追放された。それを「はなれ」といった。「縁起」や「式目」を伝えている所もある。瞽女は3人ないし数人が一団になって巡遊した。娯楽に乏しい山村では大いに歓迎された。昼間は門付に回り、夜は定宿に集まった人々を前に芸を披露した。葛(くず)の葉(は)子別れや小栗判官(おぐりはんがん)などの段物をはじめ、口説(くどき)、流行唄(はやりうた)というように語物(かたりもの)や多くの唄を管理した。近年は昔話や世間話の伝播(でんぱ)者としても注目を集めている。
[野村純一]
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三味線や歌謡などによって門付(かどづけ)巡業した盲女。貴紳に侍する御前に由来する説,瞽女(ごじょ)の転訛説などがある。近世には,師匠と弟子が同居して世帯を構成し,師匠は数軒で組をつくり,数組で仲間または座を組織した。全国組織はないが,各地の仲間は初心・中老・一老などの年次階梯制による類似した秩序をもっていた。
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この柳田分類に対して,折口信夫は,柳田のいう民謡を(1)童謡,(2)季節謡,(3)労働謡に分類する以外に,(4)芸謡の存在を挙げている。芸謡は芸人歌のことで,日本では各時代を通じて祝(ほかい)びと,聖(ひじり),山伏,座頭(ざとう),瞽女(ごぜ),遊女などのように,定まった舞台をもたず,漂泊の生活の中で民衆と接触しつつ技芸を各地に散布した人々があり,この種の遊芸者の活躍で華やかな歌が各地に咲き,また土地の素朴な労働の歌が洗練された三味線歌に変化することもあった。瞽女歌から出た《八木節》,船歌から座敷歌化した《木更津甚句》などがその例である。…
…江戸では大名,武家を相手とする座頭金(ざとうがね)(高利貸)が盛行して巨富を積む盲人も出現し,学問の世界では《群書類従》を編纂した塙保己一(はなわほきいち)が頭角を現した。 他方,近世社会の底辺には三味線を手に浄瑠璃,小歌をうたって都鄙(とひ)をめぐり,あるいは吉凶の門に立ち,米銭を乞う座頭・瞽女(ごぜ)の姿がひろく見られた(当道の官位の一つである〈座頭〉は江戸時代には盲人男子一般をさして用いられた)。季節の折々に来訪する盲人たちは労働に明け暮れる農村に娯楽を運び,村人たちは宿や手引きを提供して彼らを歓待した。…
※「瞽女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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