矢瀬遺跡(読み)やぜいせき

日本歴史地名大系 「矢瀬遺跡」の解説

矢瀬遺跡
やぜいせき

[現在地名]みなかみ町月夜野 矢瀬

利根川上流域右岸の最下位段丘面に位置する。付近の標高は三九三メートルで、利根川河川敷面と段丘中段面とに挟まれた緩斜面上にある。平成四年(一九九二)に発掘調査を開始し、範囲確認、補足調査も含めると調査は同七年まで行われた。その結果、縄文時代後期後半から晩期末葉までの間を中心とする集落跡が、約五〇〇〇平方メートルの範囲にわたって確認された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「矢瀬遺跡」の解説

やぜいせき【矢瀬遺跡】


群馬県利根郡みなかみ町月夜野にある縄文時代後期から晩期の集落跡。利根川右岸の河岸段丘の最下段にあり、1992年(平成4)からの発掘調査で、集落跡をはじめ、墓地、祭祀跡、水場などの全容が判明した。水場はもともとある湧水地を掘り下げ、周辺に河原石を張り付けて池状にし、石組みの排水用溝や立石列を造り、石皿などを配置した作業場が設けられており、池状遺構の底からはトチノキクルミなどの種子が出土した。祭祀跡は水場に近接した祭壇状の石組み遺構を中心にし、径80cmの巨大木柱遺構や丸材でつくられた木柱列、方形木柱列などがあり、木材はほとんどがクリ材。墓地は100基以上の配石墓群で、集落跡には22棟の竪穴(たてあな)住居跡があり、大型の1号住居跡を中心に南北に分かれて構成されている。出土遺物は膨大な量にのぼるが、なかでも装身具と祭祀関係の遺物が大量に出土。「目」の字を貼り付けた土器や、アスファルトをつけた石鏃(せきぞく)、ベンガラを入れたミニチュア土器弓矢をもつ人物を描いた円礫、径1cmの石棒など、他に見られないものが多く存在する。1997年(平成9)に国の史跡に指定。JR上越新幹線上毛高原駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

百科事典マイペディア 「矢瀬遺跡」の意味・わかりやすい解説

矢瀬遺跡【やぜいせき】

群馬県利根郡月夜野町(現・みなかみ町)にある縄文時代後期〜晩期の集落遺跡(国指定史跡)。1992年の調査で,クリ材をつかった方形木柱列,大きな立石をもつ祭壇状石敷遺構,水場遺構,住居跡,配石墓などが発掘された。

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