角閃石(かくせんせき)の一種で、透角閃石ともいう。多く繊維状ないし針状で、まれに柱状の結晶をなす。とくに微細な繊維状結晶が密に集合して塊状を呈すると強靭(きょうじん)になる。いわゆる軟玉の一部がこれにあたる。石灰質、苦灰質岩起源の接触変成岩、塩基性岩起源の広域変成岩、超塩基性岩起源の変成岩中に産する。鉄の含有量が増加すると、緑閃石(アクチノ閃石)、さらに鉄緑閃石(フェロアクチノ閃石)になる。英名は、原産地スイスのトレモラ・バレーTremola Valleyに由来する。
[松原 聰]
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