日本大百科全書(ニッポニカ) 「石鳥谷」の意味・わかりやすい解説
石鳥谷
いしどりや
岩手県中央部、稗貫郡(ひえぬきぐん)にあった旧町名(石鳥谷町(ちょう))。現在は花巻(はなまき)市の北部中央寄りを占める地域。1928年(昭和3)町制施行。1955年新堀(にいぼり)、八幡(はちまん)、八重畑(やえはた)の3村と合併。2006年(平成18)花巻市に合併。旧町域の中央部を北上川が南流し、流域は広い水田地帯をなす。米作のほか、リンゴ栽培も盛んである。「酒の町」として知られ、かつては盛岡藩主の御膳(ごぜ)酒を毎日盛岡まで運んだといわれ、現在も3社の酒造工場がある。酒造りで全国各地に出稼ぎする南部杜氏(とうじ)の発祥地でもあり、南部杜氏伝承館もある。JR東北本線、東北自動車道のほか、石鳥谷バイパス(国道4号)が完成して商店街再開発が進められている。国道沿いに樹齢約350年の杉生桜(すぎおいざくら)の名木がある。光勝寺は真言宗豊山(ぶざん)派で、豊作を祈る五大尊蘇民祭(そみんさい)がある。
[川本忠平]