日本大百科全書(ニッポニカ) 「大迫」の意味・わかりやすい解説
大迫
おおはさま
岩手県中央部、稗貫郡(ひえぬきぐん)にあった旧町名(大迫町(まち))。現在は花巻(はなまき)市の北東部を占める地域。1892年(明治25)町制施行。1955年(昭和30)内川目(うちかわめ)、外川目、亀ヶ森(かめがもり)の3村と合併。2006年(平成18)花巻市に合併。旧町域は早池峰山(はやちねさん)南麓(なんろく)にあり、古くから釜石(かまいし)街道の宿駅として栄え、盛岡藩時代には大迫通り代官所が置かれた。ブドウ、葉タバコ栽培、畜産を行い、県立農業試験場大迫葡萄試験地の設置を契機にエーデルワインの生産も盛ん。早池峰山の登山口にあたる。岳(だけ)、大償(おおつぐない)集落に伝わる早池峰神楽(かぐら)(国の重要無形民俗文化財。2009年ユネスコの無形文化遺産に登録)をはじめ鹿踊、念仏踊など郷土芸能の宝庫である。早池峰山のハヤチネウスユキソウがアルプスのエーデルワイスと同種のことからオーストリアのベルンドルフ市と姉妹都市を結び、それを記念する早池峰山岳博物館がある。
[川本忠平]