花巻市(読み)ハナマキシ

デジタル大辞泉 「花巻市」の意味・読み・例文・類語

はなまき‐し【花巻市】

花巻

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日本歴史地名大系 「花巻市」の解説

花巻市
はなまきし

面積:三八四・七三平方キロ

県の中央部やや南西寄り、北上盆地の中央に位置する。北は岩手郡雫石しずくいし町・稗貫ひえぬき石鳥谷いしどりや町、東は和賀郡東和とうわ町、南は同郡和賀町・江釣子えづりこ村、北上市、西は和賀郡和賀町・郡沢内さわうち村に接し、市域の東方を南流する北上川の中流域にあたる。同川東部は北上高地の西端にあたり、早池峰はやちね山南面を水源とするさるいし川およびその支流によって開析された段丘群・沖積地と胡四王こしおう山で代表される低位山地、西部は奥羽山脈に属する標高六〇〇―九〇〇メートルの山地で、北上川支流の諸河川によって開析された段丘群と北上川本流によって開析された低位段丘・沖積地で構成される。北部を南東流するだい川・鍋割なべわり川は小瀬川こせがわ付近で合流し川となり、同川や雫石町・沢内村境の山地を水源とする支流を集めた豊沢とよさわ川が北上川右岸に注ぐ。市域中央部は水田を中心とした穀倉地帯となり、市街地は豊沢川合流点付近に広がる。かつては南方の一部が和賀郡、他は稗貫郡に属していた。市域を縦断するおもな交通路には、北上川東岸を走るJR東北新幹線、西岸の同東北本線・国道四号・東北自動車道・主要地方道盛岡―和賀線などがあり、東北本線花巻駅からはJR釜石線が東方に分岐、同線の南を並行して花巻―釜石を結ぶ国道二八三号が通る。また花巻市街から豊沢川に沿って西方に主要地方道花巻―大曲おおまがり線が走る。

〔原始〕

市域は早くから開発が進んでおり、遺跡の破壊が著しい。したがって発掘調査されずに姿を消した遺跡も多く、調査された遺跡は限られている。現在のところ旧石器時代の遺跡は未確認で、遺物も発見されていない。縄文時代になると早期の貝殻文土器片が高松たかまつ遺跡から出土しているが、完形のものはなく、遺構も検出されていない。前期になると遺跡数がやや増加する。やまかみ遺跡は二枚橋にまいばし段丘面北縁部に位置し、遺構部分は土取りで破壊されたと思われるが、多数の前期末から中期初頭の土器片・石器類が出土、遺物の廃棄場所があったと考えられる。そのほかに花巻温泉遺跡・白山長根はくさんながね遺跡・高松遺跡うえやま遺跡などで前期の遺物が採取される。中期の遺跡には高松遺跡・久田野きゆうでんのII遺跡・上の山遺跡・はば遺跡・添市そいち遺跡などがあるが、遺構は確認されていない。また中野なかの遺跡と矢沢やさわ小学校北遺跡からは焼土が発見されており、住居跡などの遺構の存在が推定される。後期の遺物が出土する遺跡は現在のところ幅遺跡のみで、晩期の遺跡では高松遺跡が調査された。

花巻市
はなまきし

2006年1月1日:花巻市と和賀郡東和町、稗貫郡大迫町石鳥谷町が合併
【東和町】岩手県:和賀郡
【大迫町】岩手県:稗貫郡
【石鳥谷町】岩手県:稗貫郡
【花巻市】岩手県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花巻市」の意味・わかりやすい解説

花巻〔市〕
はなまき

岩手県中部,北上盆地の中央部にある市。1954年花巻町と湯口村,湯本村,矢沢村,宮野目村,太田村の 5村が合体し市制施行。1955年笹間村を編入。2006年大迫町,石鳥谷町,東和町と合体。市名は南部氏領となって以来の地名で由来は諸説ある。慶長18(1613)年以来南部氏 2万石の城下町,奥州街道の宿駅として栄え,「花巻商人」といわれる豪商を生んだ。中央部を豊沢川が東流し,北上川に流入。流域は肥沃な穀倉地帯で,米作や野菜,果樹の栽培が行なわれ,農産物の集散地。工業は,電気機械,精密機械,食品加工業などの工場が立地。石鳥谷は南部杜氏の発祥地として知られ,歴史民俗資料館の酒造用具は国の重要有形民俗文化財に指定。北西部の山麓地帯には花巻温泉郷があり,花巻温泉郷県立自然公園に指定。北東端の早池峰山を中心とする地域は早池峰国定公園に属し,山麓集落に伝わる早池峰神楽は国の重要無形民俗文化財。宮沢賢治の生家や記念館,高村光太郎が晩年を送った山荘などがある。宮野目の花輪堤ハナショウブ群落と上小山田のカズグリ自生地は国の天然記念物。北成島の成島毘沙門堂は,本尊の兜跋毘沙門天立像とともに国の重要文化財に指定されている。JR東北本線花巻駅から釜石線が分岐,国道4号線から国道283号線が分岐し,ともに三陸海岸に通じる。東北新幹線,東北自動車道が縦貫し,花巻南,花巻インターチェンジがある。国道107号線,396号線,456号線が通る。花巻空港もあり,東北の空の玄関口となっている。面積 908.39km2。人口 9万3193(2020)。

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