砂糖漬(読み)さとうづけ

精選版 日本国語大辞典 「砂糖漬」の意味・読み・例文・類語

さとう‐づけサタウ‥【砂糖漬】

  1. 〘 名詞 〙 果物などを砂糖に漬けること。果物や野菜などを軟らかく煮たり、砂糖煮してから乾燥し、砂糖の中に漬けること。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「此公事のはては小判のさとう漬」(出典:雑俳・苔翁評万句合(1751‐64)宝暦一三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂糖漬」の意味・わかりやすい解説

砂糖漬け
さとうづけ

砂糖の防腐効果を利用し、果実、豆、野菜などの長期保存を目的に、高濃度の砂糖を染み込ませたもの。紀元前5世紀ごろ、インドではすでに果実を砂糖に漬けたものがつくられていたようである。日本で砂糖漬けがつくられるようになったのは、砂糖が自由に使われるようになった江戸時代中ごろからである。砂糖は濃度が高いとき、材料から強く脱水するとともに水分を完全に捕捉(ほそく)し、このため微生物は繁殖できず、防腐効果が発揮される。この際砂糖の量は、そこにある水分に対して飽和量以上に必要である。塩漬けとは異なり、砂糖味は濃度が高くても、そのまま食用とすることができる利点があり、食品の酸化防止作用もある。

 砂糖漬けの作り方には、砂糖液で煮る、砂糖液に浸す、砂糖をふりかけて重石をする、といった方法がある。材料を適当な大きさに切り、あらかじめ水煮して、組織を軟化させると同時に苦味やアクを除いておく。砂糖漬けに用いる砂糖は、純度の高いものが適している。

 中国には青ウメ、ナツメハスの実、蓮根(れんこん)などの砂糖漬けがある。日本では各地に砂糖漬けの名物があり、その土地特有の果実や野菜などが使われている。その代表的なものに、ザボンブンタン)の柔らかい中皮を用いてつくった文旦(ぼんたん)漬け(鹿児島)、蓮根、ニンジンゴボウ、リンゴ、フキワラビショウガなど山野の幸を砂糖漬けにした五智果(ごちか)(大阪)、小さいナスを姿のまま用いた初夢漬け(千葉)、名物の秋田ブキの茎を用いた蕗(ふき)の砂糖漬け(秋田)などがある。

 また、マロングラッセや甘納豆、菓子材料として使うアンゼリカドレンチェリージンジャーペアーなどのクリスタルフルーツ、オレンジ、シトロン、レモン、メロンなどのピール(皮)も砂糖漬けの一種である。

[河野友美・大滝 緑]


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改訂新版 世界大百科事典 「砂糖漬」の意味・わかりやすい解説

砂糖漬 (さとうづけ)

果実や野菜を砂糖液に漬けこむか,砂糖液で煮て乾燥加工した食品。糖分が多く,保存性が高い。江戸前期には行われていたようで,《和漢三才図会》(1712)には〈沙糖漬菓子〉として,ミカン,ブシュカン(仏手柑),テンモンドウ(天門冬),ショウガ,トウガンなどでつくるとしている。現在もいろいろな材料でつくられているが,とくに長崎のブンタン,秋田のフキ,栃木のかんぴょうなどは異色の地方名菓として有名である。西洋のものではクリでつくるマロングラッセが知られ,ほかにレモンやオレンジの果皮,アンゼリカの茎,サクランボなどのものがあり,洋菓子やカクテルに使用される。
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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「砂糖漬」の解説

さとうづけ【砂糖漬け】

果物・野菜・豆などを砂糖や砂糖みつに漬け込むこと。また、その漬けたもの。レモンを生のまま薄く切って砂糖に漬けたものなどもいうが、ゆでて漬け込んだものや、砂糖を大量に加えて煮たり砂糖みつで煮詰めたりしたあとそのまま漬け込んだ、保存食として作るものをいうことが多い。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「砂糖漬」の解説

砂糖漬け

 果実,マメなどを高濃度のショ糖液につけて保存すること.

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