ヨーロッパのアルプス地方原産とされるセリ科の越年草。もともとは薬草として根を婦人科の鎮静剤や強壮剤として用いた。このような薬効をもつところからアンゼリカ(エンゼル,天使の意味)の名がついた。葉はセロリに似て,太い葉柄があり,長さ50cmほどになる。茎は高さ1~2mになり,上部は枝分れをして,夏に緑白色の小花を多数つける。主産地は南フランスとドイツである。ケーキの味付けと飾付けなどに利用する。茎の砂糖漬は日本ではフキの葉柄で代用し,これをアンゼリカと呼んでいる。本物は高い香りがあり,透き通る緑色が美しい。根や茎はルバーブのすっぱさを消すのに使われる。葉は乾燥させてシチューに入れる。根や種子からはアンゼリカ油と呼ぶ芳香精油が採れ,ジンやリキュールなどの香り付けに利用される。
執筆者:星川 清親
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ヨーロッパのアルプス地方原産とされるセリ科(APG分類:セリ科)の多年草。茎は高さ1~2メートル、上が枝分れして夏に緑白色の小花が多数傘のように集まって開く。葉はセロリに似て葉柄が太く、長さ50センチメートルほどになる。
[星川清親 2021年11月17日]
中世ヨーロッパでは、その強い香りから魔女の霊草として知られていた。干したアンゼリカの根や茎、葉、種子は胃薬、駆風(くふう)剤(腸管内にたまったガスを排出する薬剤)、興奮剤に利用される。また根から抽出した精油はジンやベネディクティンなどのリキュール類の香料に使われ、茎や葉柄は洋菓子やケーキ類の色づけ、香りづけに用いられる。またアシタバと同属で、若葉が食用にされ、乾燥葉はハーブ・ティーに用いられる。
[湯浅浩史・齋藤 浩 2021年11月17日]
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