砒四面銅鉱(読み)ひしめんどうこう(その他表記)tennantite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「砒四面銅鉱」の意味・わかりやすい解説

砒四面銅鉱
ひしめんどうこう
tennantite

銅の硫塩鉱物の一つで、その鉱石鉱物となる。日本では、黒鉱鉱床、低~中温熱水鉱脈鉱床などに産し、しばしば正四面体を基調とする自形をなす。黒鉱鉱床では閃(せん)亜鉛鉱、方鉛鉱、重晶石などとともに産して黒鉱の主成分をなし、熱水鉱床でも石英脈中に黄銅鉱などと産する。兵庫県生野(いくの)鉱山閉山)では、十数種の銅、亜鉛、鉛、銀、鉄、マンガン、錫(すず)、タングステンヒ素蒼鉛(そうえん)、コバルト鉱物と共存している。同系の安四面銅鉱より産出はまれ。英名はイギリスの化学者テナントにちなむ。

加藤 昭 2018年7月20日]


砒四面銅鉱(データノート)
ひしめんどうこうでーたのーと

砒四面銅鉱
 英名    tennantite
 化学式   Cu10(Fe,Zn)2[S|(AsS3)4
 少量成分  Ag,Hg,Pb,Co,Ni,Cd,Sb,Se
 結晶系   等軸
 硬度    4.5
 比重    4.4~4.8
 色     鉄黒
 光沢    金属
 条痕    黒~暗赤(Feに乏しいもの)
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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