主として港湾、沿岸、海峡などの哨戒(しょうかい)、侵入潜水艦に対する警戒・捜索・攻撃などを主任務とする、排水量500~600トン以下の小型対潜艦艇。速力20ノット程度のものが主流だが、最近の高速艇タイプには30ノットを超すものもある。第一次世界大戦時に、ドイツの潜水艦攻撃に対抗して、イギリスが急いで建造した哨戒艇(PボートおよびPCボート)、アメリカが量産したPボートに類似したイーグル・ボートおよび小型駆潜艇(SCボート)が最初のもの。第一次、第二次世界大戦戦間期に、日本を含めた各国も建造を始めたが、日本では、第二次世界大戦直前から戦時中に多数建造した第13号型および第28号型駆潜艇(基準排水量420~438トン、速力16ノット、爆雷36個搭載)が、当時の鋼製大型艇の代表的なものであった。初期の艇では、索敵兵器に水中聴音機、攻撃兵器に爆雷と小口径砲が搭載されていたが、その後、水中探知機(ソナー)が装備された。第二次世界大戦中には攻撃用として前投対潜兵器を備えた艇も出現、大戦後は、爆雷にかわってホーミング魚雷が装備された。しかし、大戦後の潜水艦の性能の飛躍的向上により、在来型の艇では対応が困難となった。そこで高速ディーゼルエンジン、ガスタービンなどを主機とした高速艇タイプや水中翼艇タイプの艇が建造されたが、最近では、より高性能で兵装搭載能力に優れた小型コルベットが、駆潜艇にかわって局地対潜任務に使用されている。
[阿部安雄]
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潜水艦を攻撃する小型の軍艦。第1次世界大戦中,ドイツ潜水艦の攻撃に対抗するために連合国は,爆雷を主兵装とした局地用の小型艇を建造,駆潜艇と称した。イタリアのMAS(motoscafi antisommergibili)はその代表である。その後,艇を大きくし航洋性をもたせ,沿岸の対潜哨戒や船団護衛に使用するようになり,500トンを超すくらいの艇も出現した。これらの艇は主要兵装として,古くは爆雷を用いていたが,近年は第2次世界大戦中期以後発達した対潜前投兵器(小型の爆雷や魚雷をロケットなどで前方に射出するもの)や小型対潜ホーミング魚雷(自分で目標を探知・追尾する魚雷)を装備している。第2次大戦後,潜水艦の発達はめざましく水中速力が高速となったので,駆潜艇のような波浪の影響を受けやすい小型の艇では潜水艦を探知して攻撃することは困難となった。1960年代から各国ともこの種の艇の建造は行っていない。旧日本海軍の駆潜艇は1933年に建造された第1号駆潜艇が最初で,太平洋戦争にかけて数多く建造され船団護衛に使用された。
執筆者:出光 照生
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