硬化病(読み)コウカビョウ(英語表記)muscardine

デジタル大辞泉 「硬化病」の意味・読み・例文・類語

こうか‐びょう〔カウクワビヤウ〕【硬化病】

昆虫糸状菌寄生し、体が硬化して死ぬ病気総称。蚕の白殭病はっきょうびょうなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「硬化病」の意味・読み・例文・類語

こうか‐びょう カウクヮビャウ【硬化病】

〘名〙 昆虫やクモなどの病気の一つ。特に蚕についていう。糸状菌の寄生によって体内器官が侵され、死後体が硬化する。糸状菌の胞子の色によって、白殭病(はっきょうびょう)、黒殭病、黄殭病などと呼ばれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「硬化病」の意味・わかりやすい解説

硬化病 (こうかびょう)
muscardine

糸状菌の寄生によって起こる昆虫の病気のうち,死体が硬化しミイラ状になるものの総称。とくにカイコの糸状菌病についていわれるが,このうちこうじかび病は糸状菌による病気ではあるが,幼虫死体が軟化するので硬化病とは呼ばない。病原菌分生子は昆虫の皮膚に付着して適当な温度と湿度が与えられると発芽し,発芽管は伸長して菌糸となり,昆虫の皮膚を貫通する。菌糸が血液に達すると短菌糸を形成する。昆虫体内での菌の生育増殖は血液中で短菌糸や菌糸の形態で行われるが,菌糸は真皮細胞,脂肪組織,筋肉の一部を侵害することがある。病気の症状は病原菌の種類によって必ずしも一様でないが,一般に動きが不活発となり,食欲も減退し,皮膚に特有の病斑が現れ,ついに死亡する。時間の経過とともに死体はしだいに硬化し,死体の表面に病原菌の菌糸が繁殖して全面白色を呈するようになる。死体をおおった菌糸にはその後さらに多数の分生子が形成される。分生子はそれぞれの病原菌特有の色を呈するので,死体は白・黄・緑・赤・黒色などの粉でおおわれた状態になる。それぞれの色によって白きょう病,黄きょう病,緑きょう病,赤きょう病,黒きょう病などと呼ばれている。〈きょう〉は〈殭〉の字を当て,死んでも腐らないとの意味である。これらの菌の分生子が空中に飛散し,昆虫の皮膚に付着することにより病気が伝染する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硬化病」の意味・わかりやすい解説

硬化病
こうかびょう
muscardine

昆虫の病気で,死体が硬化するのでこの名がある。糸状菌の菌胞子が体表で発芽し,発芽管が皮から体内に侵入し,菌糸となって全身をおかす。特に蚕の病気についていう。白きょう (はくきょう) 病,黄きょう病,緑きょう病,黒きょう病などがある。防除法としてはホルマリン高度さらし粉による蚕室蚕具の消毒が有効である。蚕体消毒剤も数種ある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「硬化病」の意味・わかりやすい解説

硬化病【こうかびょう】

糸状菌の寄生によって起こる昆虫,特にカイコの病気の総称。病蚕は食欲減退し特有の皮膚病斑を現して死に至りその後硬化する。死蚕の表面に生成した胞子はその菌種独特の色を呈するので白きょう病,緑きょう病,黄きょう病などと分類される。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報