糸状菌の寄生によって起こる昆虫の病気のうち,死体が硬化しミイラ状になるものの総称。とくにカイコの糸状菌病についていわれるが,このうちこうじかび病は糸状菌による病気ではあるが,幼虫死体が軟化するので硬化病とは呼ばない。病原菌の分生子は昆虫の皮膚に付着して適当な温度と湿度が与えられると発芽し,発芽管は伸長して菌糸となり,昆虫の皮膚を貫通する。菌糸が血液に達すると短菌糸を形成する。昆虫体内での菌の生育増殖は血液中で短菌糸や菌糸の形態で行われるが,菌糸は真皮細胞,脂肪組織,筋肉の一部を侵害することがある。病気の症状は病原菌の種類によって必ずしも一様でないが,一般に動きが不活発となり,食欲も減退し,皮膚に特有の病斑が現れ,ついに死亡する。時間の経過とともに死体はしだいに硬化し,死体の表面に病原菌の菌糸が繁殖して全面白色を呈するようになる。死体をおおった菌糸にはその後さらに多数の分生子が形成される。分生子はそれぞれの病原菌特有の色を呈するので,死体は白・黄・緑・赤・黒色などの粉でおおわれた状態になる。それぞれの色によって白きょう病,黄きょう病,緑きょう病,赤きょう病,黒きょう病などと呼ばれている。〈きょう〉は〈殭〉の字を当て,死んでも腐らないとの意味である。これらの菌の分生子が空中に飛散し,昆虫の皮膚に付着することにより病気が伝染する。
執筆者:渡部 仁
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