磯の口明け(読み)イソノクチアケ

デジタル大辞泉 「磯の口明け」の意味・読み・例文・類語

いそ‐の‐くちあけ【×磯の口明け】

資源保護・環境保全のため、禁止していた海藻貝類採取を解禁すること。また、その最初の日。口開け。磯開き
[補説]採取の禁止を「磯の口止め」という。

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精選版 日本国語大辞典 「磯の口明け」の意味・読み・例文・類語

いそ【磯】 の 口明(くちあ)

  1. 濫獲を防ぎ、あるいは収穫均衡を保つための磯物採取の禁止期間を解除すること。浜の口明け海下(うみお)り。⇔磯の口止め

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改訂新版 世界大百科事典 「磯の口明け」の意味・わかりやすい解説

磯の口明け (いそのくちあけ)

磯漁や地先漁業のなかで,海草類や魚貝類などを共同採取する場合,日を定めておいていっせいに採取することをいう。土地によっては開口かいこう)といったり,海入り,総立(そうだて)といったりする。隠岐島ではス(洲)ともいう。藻場のス,わかめのス,のりのス,天草のスなどというが,これらは古くからあった習慣ではない。口明けは磯根資源の販路が開けその価値がより高くなるにつれ,磯根資源の保護の必要上から定着した制度である。従前においては3月3日の節供は仕事を休んで磯へ下りるなどというように,磯根資源の生育期に当たる年中行事などを一般的に目安にする程度であったが,現在では通常,漁獲対象となる磯根資源のひとつひとつに応じて口明けの日が決められている。口明けの日の決定は以前は村の総会や講などによって決定されたが,現在では漁業協同組合で決められることが多い。実際にはその年の生育状況や天候などを見て,組合の理事などが数日前に口明け日を決定する。

 口明けの期間はさまざまで,日限を短く切るもの,口明け後は自由に採取するもの,また1回目の口明け,2回目の口明けと数度にわたって口明けすることもある。口明けした場合の共同採取には,各戸1名に限るもの,また人数に制限のないものもある。また口明けした最初の日は〈仲間どり〉といって水揚げしたものは村や部落の公費に提供したり,あるいは各戸平等に分配したりし,2日目以降は勝手採りといって,各自の採取したものは持ち帰ることができるという場合もある。入会磯のところでは,口明けの1日目だけは自分の磯のものを採り,それ以降は入会で採取することもある。口明けに対して禁漁に入ることを口止めという。口明けの決めてない漁獲対象物のなかでも,産卵期に限って口止めするものもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磯の口明け」の意味・わかりやすい解説

磯の口明け
いそのくちあけ

海藻,魚介そのほかの水産物の採取を一定期間に限って行うこと。浜の口明け,海下 (うみお) り,洲が立つなどともいう。これに対して禁止期間を磯の口止め,上 (あが) りなどという。その方法は土地によってさまざまである。毎年それぞれの種目に応じて一定日に行う場合や成育状態,天候などを見計らって決める場合などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の磯の口明けの言及

【口明け】より

…共同利用している山野や漁場,磯浜に採取を目的に入ることを解禁すること。口明けは元来もののはじまりを意味する言葉であり,入会山への入山の解禁を山の口明けとか山の口と呼び,磯浜や漁場への解禁を浜の口明けとか磯の口明けということが多い。山の口明けは自由に入ってよい最初の日のことであるが,ムラが利用している山すべてについていっせいに口明けにする所と,採取物ごとに口明けの時期を決める所があり,また解禁してからの一定期間を口明けと呼び,その間入山については持参できる道具や搬出方法に一定の制限を加える所も各地にある。…

※「磯の口明け」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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