茨城県三浜(さんぴん)地域の民謡。三浜とは、太平洋沿岸の湊(みなと)、平磯、磯浜の三つの浜のこと。もとは江戸時代この三浜沖で櫓(ろ)をこぐ船頭たちの舟唄(ふなうた)だった。それがいつか三浜近くにある祝町(東茨城郡)などの遊廓(ゆうかく)に入り、三味線伴奏のお座敷唄になった。那珂湊(なかみなと)は水戸藩の外港として出船入船でにぎわっていたが、明治時代に、三浜の南の大洗(おおあらい)に海水浴場ができて人の出入りが激しくなってから、『磯節』は大洗で歌われ出した。そこで歌詞も「磯で名所は大洗さまよ 松が見えますほのぼのと……」となるが、もともとは「磯で曲り松 湊で女松(めまつ) 中の祝町男まつ……」である。『磯節』を世に広めたのは、美声の盲人関根安中(あんちゅう)という鍼医(はりい)で、求めに応じて治療しながら聞かせたといい、もう1人は水戸出身の第19代横綱常陸山(ひたちやま)谷右衛門である。おおらかさのなかに渋さもあり、いかにも潮のなかから生まれた唄らしい響きが特色である。
[斎藤 明]
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…漁船の出入りが多かったので,88年(元禄1)藩主徳川光圀の時代,那珂川河口の祝町に洗濯屋と俗称された遊郭が公許されにぎわった。茨城県の代表的民謡《磯節》はこの遊郭あたりから広まったともいう。1845年(弘化2)の戸数は1100軒。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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