社会的分化(読み)しゃかいてきぶんか(その他表記)social differentiation

日本大百科全書(ニッポニカ) 「社会的分化」の意味・わかりやすい解説

社会的分化
しゃかいてきぶんか
social differentiation

個人や集団が相互に異なった機能を担うことによって社会の異質化を増大させるとともに、全体としての社会の統合を再編・強化すること。それは、初め資本主義の生成と発達を通して、企業内分業や社会的分業の問題として経済学者たちによって注目されたが、社会学者がそれを近代社会の構造的特性として注目したのは19世紀末のジンメルとデュルケームである。ジンメルは、近代社会の量的な拡大と機能的な分化が社会の非人格化、合理化を促進する過程で、個人が個性的な発達を遂げてゆく一方で集団や社会にますます埋没してゆく傾向を、諸個人の相互作用を通して鋭く分析した。他方、デュルケームは、近代社会における諸機能の分化が個人の自律化を促進する反面、諸機能相互の連帯がいよいよ増大するとみて、社会的分業が異質の諸個人を結び合わす道徳的機能に注目した。結果として、両者とも社会の分化(変動)が全体社会の統合をもたらすとみていた。

 最近では、ドイツの社会学者ルーマンNiklas Luhmann(1927―98)が、現代社会を機能的な分化システムとしてとらえ、国家のような単一集団の支配的機能の強化よりも、政治、経済、科学、法、教育、宗教、家族などの機能的な分化システムが相対的に自律化している点に注目し、諸システムの多元的構造を重視した。ジンメルたちから100年近くを経て、社会的分化はふたたび社会学の主要問題となっている。

[田原音和]

『G・ジンメル著、居安正訳『社会分化論 社会学』(1970・青木書店)』▽『E・デュルケーム著、田原音和訳『社会分業論』(1971・青木書店)』▽『N・ルーマン著、土方昭監訳『法と社会システム』(1983・新泉社)』▽『N・ルーマン著、土方昭監訳『社会システムのメタ理論』(1984・新泉社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社会的分化」の意味・わかりやすい解説

社会的分化
しゃかいてきぶんか
social differentiation

社会的分化は社会的統合とともに社会の変動の過程として最も注目されてきた。すでに社会進化との関連で H.スペンサーによって指摘されたが,G.ジンメルや É.デュルケム,K.H.マルクスらの研究によって進展をみた。社会が同質性から異質性へ変化し,同質的階級が労働の分業を行うことにより社会の分化が進展する。この分化は機能的分化と構造的分化に分けられ,この両者が相関連して進行する。前者は,同質的に行われていた人間の活動が次第に自己専門化し,労働の分業が成立してくることをさし,後者すなわち構造的分化は,社会構造そのものが,多数の構造に分化していくことを意味している。

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