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社会解体 しゃかいかいたいsocial disorganization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会解体
しゃかいかいたい
social disorganization

社会集団や地域社会などが既存の慣習規範による秩序維持の機能のうえでの障害によってアノミー状態になること。個人解体と相互に密接な関係を有し,その社会や集団における支配的な価値体系の混乱や喪失などにより,その場における人間を逸脱行動の選択へと追いやり,生活解体を示すようになる。特定の社会階層や地域社会にろ過される人口の多くは,個人および社会解体の結果であるとみなすことができる。無組織な非熟練労働者や貧困階層を生む資本主義的体制,反社会的ならびに非社会的行動を増加させるような大衆社会状況が社会解体の背景にある。特に都市の地域構造を究明する人間生態学ではこうした特徴的な社会状況にある地域を解体地域と呼んでいるが,現代社会においては都市化,工業化の進展に対応して,こうした解体地域の発生と拡大が増加し,いわゆる都市問題の原因となっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会解体
しゃかいかいたい
social disorganization

旧来の社会構造が崩壊することによって、その社会の成員にとっての行為の基準となる価値や規範が維持できなくなり、社会の統制が不可能になった状態のこと。ある地域社会や社会集団が十分に機能するためには、その社会の成員に対して統制力をもつ家族や共同体などの集団が安定している必要がある。しかし、社会構造の崩壊に伴ってこれらの集団が不安定化し、社会解体の状態になると、個人や家族の生活の破綻(はたん)、犯罪や非行の増加といった問題が発生することになる。
 社会解体は、アメリカのシカゴ学派とよばれる都市社会学の学派によって、1920年代から多く用いられるようになった概念である。社会解体について論じた研究としてとくに有名なものは、W・I・トマスとF・ズナニエツキによる『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』(1918~1920)と、ショウClifford R. Shaw(1895―1957)とマッケイHenry D. McKay(1899―1980)による『少年非行と都市地域』(1942)があげられる。社会解体の要因となる社会構造の変化として、トマスとズナニエツキは、産業構造の変動、都市化、社会移動をあげており、ショウとマッケイは、貧困、民族や人種の混住、住民の流動性の高さ、都市化などをあげている。いずれにしても、社会解体は、産業化、都市化、社会移動といった急激な社会構造の変化を背景として発生するものとされている。
 なお、社会解体は、現在ではあまり用いられなくなっている概念である。しかし、現在の研究においても、貧困層を生む社会構造の説明や、コミュニティにおける犯罪や非行の発生を説明するための概念として、着実に継承されている。[赤羽由起夫]
『徳岡秀雄著『社会病理を考える』(1997・世界思想社) ▽宝月誠著『逸脱とコントロールの社会学――社会病理学を超えて』(2004・有斐閣) ▽松下武志・米川茂信・宝月誠編著『社会病理学の基礎理論』(2004・学文社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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