中国、南北朝時代の数学者、暦学者。范陽(はんよう)(現、河北(かほく)省涿(たく)県)の出身。字(あざな)は文遠。南朝宋(そう)の孝武帝に仕えて太史令となった。数学上の業績としては『綴術(てつじゅつ)』の著作がある。この書は、今日に伝わっていないが、『隋書(ずいしょ)』の「律暦志」に記録があり、それによれば内容が難解なために学習する者がなく、いつのまにか使われなくなったという。また『隋書』によれば、この書に円周率の研究があり、祖沖之は3.1415926<π<3.1415927を計算し、約率としてπ=22/7、密率としてπ=355/113を与えている。この密率はヨーロッパでは16世紀になって発見されたものである。このほか彼は『九章算術』『海島算経』の注釈を行ったことが知られている。
暦学の分野での業績としては『大明暦』をつくったことがあげられる。これは歳差も考慮されたもので、462年に上申されたが孝武帝の死去により用いられず、後年、梁(りょう)の天監年間(502~519)になって、祖沖之の子の祖之(けんし)(生没年不詳)の努力によってその優れた点が認められ、官暦に採用された。また彼は機械製作の才能にも恵まれており、従来からあった指南車を改良したり、水力で動かす臼(うす)や外輪船のような船なども製作した。
なお、子の祖之も優れた数学者であった。字を景爍(けいしゃく)といい、父とともに機械をつくり、父の『大明暦』の採用に力を尽くした。数学では球の体積を正しく求める方法に業績を残している。
[大矢真一]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…アルキメデスは円に内接および外接する正96角形の周を計算してを示し,πの小数点以下第2位までの正確な値を理論的に導いた。5世紀ころには,πの近似値としてインドのアールヤバタĀryabhaṭaは3.1416を,中国の祖沖之は22/7や355/113を得ている。16世紀には,ルドルフS.von Rudorff(1540‐1610)はπの近似値を小数点以下第35位まで計算し,フランスのF.ビエトは次に示すような公式を得た(図)。…
…3世紀半ばの魏の劉徽はこの書に対しすぐれた注釈を書いたが,その中で円周率の計算を論じ,近似値として3.1416を得ている。漢・唐の間の数学書としては《九章算術》を含む〈十部算経〉《算経十書》があるが,この中の《綴術》を書いた劉宋(420‐479)の祖沖之は円周率を研究し,密率として355/113,約率として22/7を求めた。この密率の値がヨーロッパで知られたのは16世紀になってからである。…
※「祖沖之」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加