出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国において,火の使用を禁じたため,あらかじめ用意した冷たい物を食べる風習。〈かんじき〉とも読む。冬至後105日目を寒食節と呼び,前後2日もしくは3日間,寒食した。この寒食禁火の風習は古来,介子推(かいしすい)の伝説(晋の文公の功臣。その焼死をいたんで,一日,火の使用を禁じた)と結びつけられるが,起源は,(1)古代の改火儀礼(新しい火の陽火で春の陽気を招く),(2)火災防止(暴風雨の多い季節がら)などが考えられている。漢代,山西省太原付近の一地方習俗にすぎなかったが,六朝末には,南方まで伝わり,唐・宋時代,全国的な行事となった。冷たい物ばかり食べるので,麦芽などで作った餳(あめ)や餳湯(あめゆ)などが好まれた。明・清以後,廃止されたのは,その苦しさによる。ただし廃止以降も,寒食節は清明節(107日目)の同義語として用いられた。これは,清明節が寒食節の後に直接接続するためであり,行事や遊びもほとんど重なっていたからである。
執筆者:植木 久行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…〈かんじき〉とも読む。冬至後105日目を寒食節と呼び,前後2日もしくは3日間,寒食した。この寒食禁火の風習は古来,介子推(かいしすい)の伝説(晋の文公の功臣。…
…唐代以降,郊外に出かけて酒宴を開く,いわゆる踏青(とうせい)の行事が盛んになったのも,新鮮な緑へのあこがれのためである。清明節は,禁火のために冷食する寒食節の後に直接連続する祝日であり,早朝になると,人々は一斉に新しい火を起こした。これを新火と呼ぶ。…
※「寒食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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