日本大百科全書(ニッポニカ) 「福神漬け」の意味・わかりやすい解説
福神漬け
ふくじんづけ
各種野菜類を調味したしょうゆ液に漬けたもの。7種類の野菜を用いるところから、七福神になぞらえてつけられた名前という。つくられた時期はさだかではないが、明治になってからである。材料はダイコン、ナス、カブ、ナタマメ、ウド、シイタケ、シソの実、ショウガ、タケノコ、ニンジン、蓮根(れんこん)などが適宜用いられる。各材料とも収穫期が異なるため、最盛期に塩漬け、または乾燥しておく。ダイコンは塩漬けもあるが、乾燥したほうが歯切れがよく風味もよい。塩漬け野菜は細かく刻み、水でさらして塩抜きしたあと圧搾機で水分を除き、調味液に漬け込む。調味液はしょうゆに、みりん、砂糖などのほか、水飴(みずあめ)、酢、酒などを配合し、一度沸騰させたものを用いる。1週間ほどで調味液がしみ込み、食用となり、保存性も高い。市販品には、しょうゆのかわりにアミノ酸液を用いたものが多く、しょうゆを使ったものに比べ味は劣る。市販のものは内容規格があり、材料の配合割合が定められている。
[河野友美]