鉱業権者でない者が、鉱業権者との契約に基づき、鉱区内の一定区域(租鉱区)において、鉱物を掘採し、取得する権利。通商産業局長の認可を受け、登録することを要し、認可は、残鉱の掘採その他鉱区の一部を経済的に開発する必要がある場合にだけ認められる。原則として、同一鉱区の同一区域には2以上の租鉱権を設定できない。租鉱権は物権とみなされ、不動産に関する規定が準用される。存続期間は10年以内で、延長は1回限り5年以内とし、他人への譲渡、抵当権の設定が禁止される。鉱業は鉱業権者自ら行うべきで、他人の鉱業権を賃貸借する、いわゆる斤先掘(きんさきぼり)契約は、鉱業経営に対する国の監督を困難にし、鉱業に伴う責任の所在を不明確にする弊害があったので、私法上無効な契約とされていた。しかし斤先掘は古くから慣行上広く行われ、当局も経済的必要からこれを黙認せざるをえず、第二次世界大戦中・戦後には特別法で使用権として認め、活用した。鉱業法はこれを租鉱権として新しく制度化したのである。
[宮田三郎]
日本の鉱業経営においては,鉱業権者自身による鉱物の掘採・取得のほかに,古い時代から,斤先掘(きんさきぼり)契約,自稼掘,共同井などと呼ばれる鉱業権者と第三者との契約により,特定の対価のもとに第三者による鉱物の掘採・取得を認める慣行が行われてきた。このような鉱業権の賃貸借類似の契約慣行は,旧鉱業法(1905公布)上,また判例上も無効とされたが,現実にはむしろ増加していき,とくにその傾向は石炭鉱区で顕著であった。そこで,戦時特別立法である1943年の使用権制度を経て,50年に公布された現行鉱業法の下では,これらの契約慣行を租鉱権制度として合法化することとした。租鉱権は当該官庁の認可・登録を効力要件とする。存続期間は5年以内とされるが,更新可能である。また,その法律的性質は物権とみなされている。そして,相続その他の一般承継以外の権利の目的とすることは禁止されているが,現実には,租鉱権の賃貸借類似契約という新たな慣行がみられる。
執筆者:徳本 鎮
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