秦邦憲(読み)しんほうけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秦邦憲」の意味・わかりやすい解説

秦邦憲
しんほうけん / チンパンシエン
(1905/1907―1946)

中国共産党の指導者。変名は博古(はくこ)。江蘇(こうそ)省無錫(むしゃく)の人。蘇州の省立第二技術学校卒業。1925年共産党入党。1926年から3年間モスクワ留学コミンテルンの支持を得て1931年1月の四中全会から1935年1月の遵義(じゅんぎ)会議まで陳紹禹(ちんしょうう)(王明)らと党中央の実権を握り、のちに第三次極左路線と批判された諸政策を推進した。抗日戦初期、党の南北局で活動、1941年から『解放日報』と新華通信社を主宰。1946年2月飛行機事故で遭難した。

[石島紀之]

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改訂新版 世界大百科事典 「秦邦憲」の意味・わかりやすい解説

秦邦憲 (しんほうけん)
Qín Bāng xiàn
生没年:1907-45

中国の革命家。江蘇省無錫の人。ペンネーム博古。1925年中国共産党に入党,28年モスクワに留学,30年陳紹禹(王明)らと帰国。コミンテルン東方局代表ミフの後押しで李立三を排除してモスクワ留学生派が党中央を掌握した際共産主義青年団総書記,ついで34年1月中共総書紀となり,のちにその教条主義,極左路線を批判された。長征後延安で《解放日報》と新華通信社を主宰した。46年4月,国民党との重慶での和平交渉の帰路,飛行機事故で死亡
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秦邦憲」の意味・わかりやすい解説

秦邦憲
しんほうけん
Qin Bang-xian

[生]光緒33(1907).江蘇,無錫
[没]1946.4.8. 山西,興
中国共産党の 1931年1月~35年1月の最高指導者の一人。筆名は博古。蘇州の工業学校を卒業し,1925年上海大学入学後入党。翌年モスクワに留学し,30年陳紹禹らとともに帰国。李立三路線を批判し,31年留ソ派が党の指導権を獲得すると陳紹禹に次ぐ地位につき,共産主義青年団中央書記,政治局書記をつとめた。党本部が江西ソビエト区に移り,陳紹禹がモスクワにおもむいてからは,一時党総書記を代行した。陳紹禹とともに留ソ派の中心となって,いわゆる第3次極左路線を推進したが,35年1月の遵義会議で指導権を毛沢東に奪われた。長征に参加したのち党西北辨事処主任を一時つとめ,46年飛行機事故で死亡。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「秦邦憲」の解説

秦邦憲(しんほうけん)
Qin Bangxian

1907~46

中国民国時代の政治家。建国前の中国共産党の指導者。浙江(せっこう)省無錫(むしゃく)の生まれ。字はロシア人にちなむ博古を名乗った。1925年共産党に入党,27年ソ連に留学。帰国後,陳紹禹(ちんしょうう)らとともに李立三(りりつさん)路線を批判して共産党の主導権を握る中心的人物となった。34年に長征に参加。しかし,35年の遵義(じゅんぎ)会議では路線問題によって総書記を解任された。以後『解放日報』の社長として活躍するが,46年重慶談判からの帰途に飛行機事故で死去した。

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世界大百科事典(旧版)内の秦邦憲の言及

【紅軍】より

…紅軍の兵力も最高30万に達した。しかしコミンテルンの意向を背景に正規戦を主張する王明(陳紹禹),博古(秦邦憲)ら留ソ派と対立して,毛沢東が軍の指導権を奪われたこと,蔣介石が第5次作戦でトーチカを築いてじり押しに包囲圏を縮める作戦をとったことによって,紅軍は34年10月瑞金を放棄して〈長征〉を余儀なくされた。 貴州,雲南,四川など11省を迂回した紅軍は35年10月第1陣の第1方面軍が陝西北部に到着,新たな根拠地をつくったが,総兵力は3万に減っていた。…

【遵義会議】より

…1935年1月上旬から中旬にかけて約1週間続いた。会議では第3次極左路線(王明路線)の軍事的失敗が批判され,総書記秦邦憲を解任して張聞天を後任に選び,コミンテルン派遣の軍事顧問を指導から排除して毛沢東,周恩来,王稼祥の3人で構成する軍事指導小組を選出した。中国共産党における毛沢東路線確立の第一歩となった歴史的な会議である。…

※「秦邦憲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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