輸血や骨髄移植などの副作用として知られる移植片対宿主病の略称。生きているリンパ球を含んだ輸血や骨髄移植などでおこる。
輸血または移植されたリンパ球(移植片)が患者(宿主)の体内で生着・増殖し、そのリンパ球が患者の細胞を「異物」として認識し攻撃する病気で、発熱、発疹(ほっしん)、肝障害等の症状を呈する。ときに多臓器不全等を生じ致命的なこともある。
輸血によるものは血縁者からの輸血で発生しやすい。有効な治療法はなく予防が重要である。日本では、輸血用血液への放射線照射による予防法の普及により、輸血によるGVHDの発生件数は減少し、2000年(平成12)から2008年までにGVHDの疑いとして日本赤十字社(日赤)に報告された症例のうち、確認された症例はない。骨髄移植では、患者と提供者のヒト白血球抗原(HLA)の型が異なるほど移植された骨髄が拒絶されやすくGVHDもおきやすいので、HLAの一致した移植が望まれる。移植後のGVHDの予防、治療には、免疫抑制剤等が用いられ効果をあげている。
[日本赤十字社企画広報室]
『十字猛夫・伊藤和彦編著『輸血後GVHD』(1994・金芳堂)』▽『森島泰雄編『GVHD予防・治療マニュアル』(2005・南江堂)』
(2015-1-22)
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