地表を離れて地上の空間だけを利用する権利の俗称。区分地上権の一種で、土地上の空間に、工作物を所有するため、その上下の範囲を定めて地上権を設定したものをいう。
土地の所有権は土地の上下に及ぶ(民法207条)から、たとえば、高架の通路を設けようとする場合には、地表の所有権者から所有権を譲り受けるか、地上権または貸借権を設定してもらうしかない。しかし、地表についての権利はその人にとって無用のものであろう。また、その結果、地表を利用してきた所有者やそのほかの権利者(地上権者など)が地表を利用できなくなるのは不経済でもある。そこに空中権の必要が生じる。都市の立体的利用が進むにつれて、この必要は増大し、日本でも、1966年(昭和41)に、空間を水平方向にくぎって使用する権利を地上権として認めるに至った(民法269条の2、不動産登記法78条5号)。
なお、アメリカなどでは、都市開発に関連して、地表の所有者が空中権を他に譲渡することが認められる場合がある。
[高橋康之・野澤正充]
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…その目的は,土地の立体的利用を容易にすることにあり,これにより,地下鉄,地下街,高架道路などのために,同じ土地の地下・空間に複数の地上権を設定することが可能となった。この場合の地上権を,地下権,空中権,また両者を総称して区分地上権ともいう。【内田 貴】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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