立券（読み）りっけん

精選版 日本国語大辞典

りっ‐けん【立券】

1. 〘 名詞 〙 物件の取得・売買・譲渡に際して公文書（立券文）を作成する手続き。特に平安時代以降、荘園を認可するとき荘園側と国衙が立ち会って四至(しし)・坪付を確定して立券文を作った。
   1. [初出の実例]「凡売_二奴婢_一。皆経_二本部官司_一。取_二保証_一。立券付_レ価〈謂。奴婢之主。自修_二辞牒_一。連_二保証署_一。乃申_二送官司_一。官司判立_二券契_一也〉」(出典：令義解（718）関市)

出典　精選版 日本国語大辞典

山川 日本史小辞典 改訂新版

立券
りっけん

荘園の立荘や所領の売買・譲渡にあたって官司から証明をえること。券文(契)を立てるの意味で，古代にも不動産の売買にあたっては券文が立てられたが，10世紀以降，班田図が作成されなくなると，券文自身が不動産領有の重要な根拠となった。国司による免判(めんぱん)も立券の一つであり，国司免判によって公田の官物や雑役(ぞうやく)が免除され，国免荘(こくめんのしょう)としての立荘が認可された。平安後期以降の荘園の立券に際して，最も重視されたのは官省符(かんしょうふ)であった。

出典　山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」

普及版 字通

【立券】りつけん

契約する。

字通「立」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の立券の言及

【立券荘号】より

…立券とは官に届け出て正式の証明書が作られることをいう。律令制下でも田地や家地などを売買したとき券文を立てたが，律令制下では田地の所有者を確定する場合には班田図が最も重視され，10世紀に入って班田図が作成されなくなってから，券文を立てた名儀者が土地所有者とされた。…

※「立券」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」