坪付(読み)つぼつけ

精選版 日本国語大辞典 「坪付」の意味・読み・例文・類語

つぼ‐つけ【坪付】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 条里制で里(り)の坪に数字を配して区画を定めること。また、定められた区画。→[ 三 ]。〔東南院文書‐天祿二年(971)五月二二日・伊賀国阿拝郡司解案〕
  3. 坪を書きつけて条里の中の田地所在地を示し、田積を集計した文書・帳簿。また、その帳簿をつけること。坪付帳
    1. [初出の実例]「細に諸国より坪付を奉れば、大臣陣にまゐりて定申て、諸国に施行し侍也」(出典:年中行事歌合(1366))

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改訂新版 世界大百科事典 「坪付」の意味・わかりやすい解説

坪付 (つぼつけ)

〈つぼづけ〉とも読む。〈坪〉とは条里制における区画・面積の単位であるが,田地の所在地と面積をこの条里の坪によって帳簿上に記載すること,およびその帳簿そのものを〈坪付〉という。律令国家は,租税賦課のために,損田や不堪佃田(ふかんでんでん)の数を調査記載した帳簿=坪付帳を国司に提出させた。そして必要に応じて使者が派遣されたが,基本的にはこの帳簿によって租税の減免がなされ租税額が決定された。平安時代には,私的土地所有と荘園制が目覚ましい発展を遂げるが,その私領や荘園の田地の所在地も条里の坪付によって示された。中世のいわゆる荘園公領制下にあっても,荘官らによって損田畠の所在を坪ごとに記載した坪付帳(坪付注文)が作成され,荘園領主に報告された。それが,その年の年貢額などの決定材料となったのである。やがて大名領国制の発達に伴い坪付の用法も変化し,戦国時代には,大名が家臣に与えた知行地の所在を書き上げた目録(知行目録)をも意味するようになった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「坪付」の意味・わかりやすい解説

坪付
つぼつけ

「つぼづけ」ともよむ。田地の所在地とその田数などを、条里(じょうり)制(一里を36等分したものが坪で、一の坪、二の坪と数字を付けて36の坪まである。一坪の面積は一町)の坪によって記載すること、および記載した帳簿そのものをいう。律令(りつりょう)国家は、坪ごとに損田や不堪佃田(ふかんでんでん)の数などを調査してその結果を記入した帳簿、すなわち坪付帳を国司(こくし)から太政官(だいじょうかん)に提出させ、それによって貢租課税の減免を行った。また平安時代には、荘園(しょうえん)や私領に属する田地も、条里坪付によってその所在地が示された。平安時代後期以降の荘園・公領制下においても、坪ごとに損田を書き上げた坪付注文が荘官によって作成されて、荘園領主は提出された坪付注文によって、その年の年貢額を決めた。なお戦国時代になると、大名が家臣に知行(ちぎょう)地として与えた所領の所在地などを書き上げた目録をも意味するようになった。

[黒田日出男]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「坪付」の解説

坪付
つぼつけ

田畠の所在と面積を条里の坪によって帳簿に記載すること,またその帳簿の坪付帳をいう。810~812年(弘仁元~3)の間のものと考えられる太政官符案にみえるのが早い例。坪付帳形式の文書は天平年間にさかのぼる。荘園公領制下でも荘園・公領の田地の所在は条里の坪で示され,所有・耕地状況などを記す坪付帳も,さまざまな形式のものが作成された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「坪付」の解説

坪付
つぼつけ

古代,土地の状況を把握するため面積,所在,所有作柄などを記した帳簿
坪付帳ともいう。中世以降にもみられるが,近世においては大名が家臣に与えた知行目録をいう。

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