立回る(読み)タチマワル

デジタル大辞泉 「立回る」の意味・読み・例文・類語

たち‐まわ・る〔‐まはる〕【立(ち)回る】

[動ラ五(四)]
あちこち歩き回る。「知人の間を―・って資金を集める」
振る舞う。行動する。特に、人々の間に立って自分が有利になるように動く。「派閥間でうまく―・る」
外出して、ある所に立ち寄る。また、犯罪者が逃走中ある所に立ち寄る。「知人宅に―・ったところを逮捕された」
演劇映画などで、切り合いや殴り合いの演技をする。「―・るシーン
[類語]駆けずり回る飛び回る駆け回る飛び歩く走り回る駆け巡る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「立回る」の意味・読み・例文・類語

たち‐まわ・る‥まはる【立回】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. あちこち歩きまわる。うろうろする。徘徊する。たちめぐる。
    1. [初出の実例]「この鷹を立廻立廻見て、あはれ逸物上なきものなり」(出典:古今著聞集(1254)二〇)
  3. 人や物の後方にまわりこむ。
    1. [初出の実例]「重房が郎等太刀をひきそばめて、左の方より御うしろに立まはり」(出典:平家物語(13C前)一一)
  4. 奔走する。いろいろと世話をする。また、人々の間を歩きまわって、自分に有利になるように工作する。要領よく行動する。
    1. [初出の実例]「三浦の人々、いかにいさみみだれ入とも、何となくたちまはり」(出典:曾我物語(南北朝頃)六)
    2. 「娘が思ふやうに、如才なくたちまはらんので、それで歯癢がって」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
  5. 出向く。外出した人が出先である所に立ち寄る。また、犯罪容疑者や犯人が逃走中に立ち寄る。
    1. [初出の実例]「北山平に盗人十人斗立まはり候由」(出典:梅津政景日記‐慶長一七年(1612)九月四日)
  6. 融通が利く。自由になる。また、生活などがなりたっていくようになる。
    1. [初出の実例]「主人の気にいり、忽小銭の立まはる身分となり」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛‐発端(1814))
  7. 芝居や映画の演技で、格闘をする。
    1. [初出の実例]「『ウヌ』トかかるを、見事に立廻(タチマハ)って」(出典歌舞伎彩入御伽草(1808)辻堂の場)

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