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競舟 せりぶね

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

競舟
せりぶね

古くから5月の節供,盆,祭礼などの年中行事のなかにみられ,特に九州,関西方面に多く,フナクラベ,オシフネなどの名で呼ばれている舟漕ぎの競技。農耕儀礼の神事にからむ一種の豊凶を占う年占であったと推測される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

競舟
せりふね

神祭にあたって船を漕(こ)ぎ進める競技をいう。その勝敗によって神意を伺い、勝てば幸ありとする年占(としうら)の意味をもっており、西日本の各地に広くみられる。九州の宗像(むなかた)大社ではすでに10世紀に「神事用の舟」と「船漕神社」という記録があり、競舟神事の行われていた可能性がある。現在、長崎ペーロン、沖縄ハーリー、熊野の速玉(はやたま)神社の諸手船(もろたぶね)神事(10月5、6日)、島根県の美保(みほ)神社の諸手船神事(12月3日)などは漕ぎ手が前に面して櫂(かい)を操作する順漕(じゅんそう)法である。一方漕ぎ手が船尾側に向かう逆向櫂(さかむきがい)漕法は瀬戸内海に広くみられ、広島県大崎上島の住吉(すみよし)神社の櫂伝馬(かいでんま)、大阪の天満(てんま)天神のどんどこ船、豊後(ぶんご)高田市のホーランエンヤがあり、また、櫓(ろ)漕ぎ法によるものは、岡山県の笠岡(かさおか)市金浦(かなうら)、真鍋(まなべ)島、白石(しらいし)島などのオシグランゴ、萩(はぎ)市玉江浦(たまえうら)のオシクラゴウ、対馬(つしま)(対馬市美津島町鴨居瀬(かもいせ))、壱岐(いき)(壱岐市勝本町)のフナグロなどがある。競舟は太平洋岸では東京湾以西にみられ、日本海岸では佐渡島(佐渡市南部。旧小木(おぎ)町地域)のハンギリ競漕は別として、福井県小浜(おばま)の広嶺(ひろみね)神社の裸漕ぎが東限である。長崎市のペーロンはその周辺から天草(あまくさ)富岡にかけてあり、八代(やつしろ)海では熊本県津奈木(つなぎ)町、水俣(みなまた)市にあり、中絶した所もある。沖縄のハーリー(爬竜船)は本島より八重山(やえやま)にかけてあり、海のかなたより来訪する神と豊作を迎えるため、沖から岸へ向けて競漕する。競舟は中国では端午(たんご)の日に、東南アジアでは雨期明けの、秋祓(はら)えに降雨と豊作を願う予祝として広く行われている。[小川 博]
『柴田恵司・高山久明「長崎ペーロンとその周辺」「長崎ペーロンとその周辺 補遺」(『海事史研究』38、40所収・1982、83・日本海事史学会)』

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