知恵蔵 「竹島問題」の解説
竹島問題
鬱陵島に近く、韓国は52年に軍事境界線、李承晩ラインを宣言し、竹島を「独島(トクト)」であるとして自国への帰属を主張。53年には、近辺での日本漁船の拿捕などに続き、竹島を占拠して海上保安庁の巡視船を銃撃する事件が発生した。以降、韓国による要塞化が進められ、現在も武装警官数十名を駐留させるなどして不法占拠している。65年の日韓基本条約では、竹島問題は紛争処理事項であると記されているにもかかわらず、韓国側は「領土問題は存在しない」などとしている。日本政府からは、竹島領有権問題に関して国際司法裁判所への付託を提案しているが、韓国側は拒否し続けている。2012年8月10日、歴代大統領として初めて、李明博(イ・ミョンバク)大統領が「独島」を訪問。その後も、「竹島訪問の動機として慰安婦問題が背景にある」、「天皇は訪韓したいなら謝罪せよ」などと放言、対日強硬姿勢を強めている。日本からは非難の声が高まり、野田佳彦首相は「極めて遺憾、毅然(きぜん)とした対応をとる」と表明した。李大統領は次の大統領選を前にして側近の不正が相次ぎ、支持率最低の状況に追い込まれている。反日感情を煽(あお)りたてることで、この局面を乗り切ろうとする政治的パフォーマンスだとの冷ややかな見方がなされている。
(金谷俊秀 ライター / 2012年)
竹島問題
(高橋進 東京大学大学院法学政治学研究科教授 / 2007年)
竹島(韓国名・独島)問題
(2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報