李承晩ライン(読み)りしょうばんライン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李承晩ライン」の意味・わかりやすい解説

李承晩ライン
りしょうばんライン

1952年1月18日に大韓民国(韓国)のイ・スンマン(李承晩)大統領が発した宣言に基づいて,朝鮮半島周辺の広大な水域に画された線。韓国政府はこの線内において,大陸棚天然資源の保護,利用のために一方的に主権を留保し,また水産漁業資源の乱獲を防ぐために監督権を行使する意図を表明した。李承晩ラインの設定によって西日本の漁業は大きな打撃を受け,日韓間に竹島領有権をめぐる紛争を招来した(→竹島帰属問題)。1965年に締結された日韓漁業協定などにより,李承晩ラインは実質的に消滅し,漁業紛争は決着したが,竹島問題は解決していない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李承晩ライン」の意味・わかりやすい解説

李承晩ライン
りしょうばんらいん

韓国(大韓民国)の李承晩大統領が1952年1月18日に「海洋主権宣言」によって朝鮮半島周辺の広大な水域に主権を主張し画定した線。この線は、場所によっては距岸200海里近くに及んだ。海洋主権宣言は、韓国の大陸棚の資源に主権を主張し、また、上述の水域の表面、水中および海底の天然資源に主権を主張した。この宣言は、第二次世界大戦後の日本漁業を規制したマッカーサー・ラインの廃止(1952)に伴って、日本漁船の韓国周辺水域への出漁を阻止しようとしたもので、韓国は、宣言の前後にわたり多数の日本漁船を拿捕(だほ)した。この李承晩ラインは、1965年(昭和40)の日韓漁業協定によって、実質的に廃止された。

[水上千之]

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