管足(読み)カンソク

デジタル大辞泉 「管足」の意味・読み・例文・類語

かん‐そく〔クワン‐〕【管足】

ウニヒトデなどの棘皮きょくひ動物体表から突出している細管移動摂食ほか感覚呼吸器官としての働きもする。

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精選版 日本国語大辞典 「管足」の意味・読み・例文・類語

かん‐そくクヮン‥【管足】

  1. 〘 名詞 〙 ウニ、ヒトデ、ナマコなど棘皮(きょくひ)動物の体表から突出する水管系の末端部分。柔軟な肉管で、この部分に体液が入りこむと管足がのびる。移動および呼吸器官として働き、先端にある吸盤他物に付着する。〔生物学語彙(1884)〕

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百科事典マイペディア 「管足」の意味・わかりやすい解説

管足【かんそく】

棘皮動物の体表に見られる多数の細い管。ウニのとげの間やヒトデの腕の下側に見られるもので,水管系に連なっていて,体液が管内に流入すると管足は伸び,先端の吸盤で他物に吸い着く。移動や摂食に役だつほか,外面に並んでいる繊毛は呼吸器官として,また神経細胞が分布していて感覚器官としても働く。クモヒトデ,ウミユリ類の管足は触手と呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「管足」の意味・わかりやすい解説

管足
かんそく

棘皮(きょくひ)動物の体表から列をなして伸び出る細管で、体の移動、摂餌(せつじ)、呼吸、感覚などに用いられる。管の内部は体内の水管系とつながり、系内の水圧変化と管足壁の筋肉の働きによって伸縮・屈曲する。ウニ、ヒトデ、ナマコ類の多くは管足の先端に吸盤をもち、それを岩などに吸着させて体を支え、また体を片側に引っ張りながらはい進む。ウミユリとクモヒトデ類の場合は触手とよばれることが多く、体の移動には用いられない。ナマコ類の周口触手といぼ足、一部のウニ類の花紋えらは管足の変形物である。

[重井陸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「管足」の意味・わかりやすい解説

管足
かんそく
tube foot; ambulacral foot

棘皮動物の歩帯の体壁を貫いて外部に突出する薄壁の細管。先端に吸盤があり,水管系内の体液で満たされる。水管系内の水の移動により,管足は自由に伸縮する。移動および摂食器官であるほか,呼吸器官,感覚器官としての働きもある。

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世界大百科事典(旧版)内の管足の言及

【足∥肢】より

…頭足類では口の周囲の筋肉がとくに発達するとともに分岐して蛇尾状に伸長し,吸盤を列生してはうとともに餌などを捕まえる働きもし,腕ともいわれる。棘皮(きよくひ)動物の管足は水管系の突出物で放射状に5帯に配列しており,先端が吸盤状になっていて,他物に吸着し体を保持・移動する。アメーバ類の仮足は随時形成される細胞体の運動方向への突出にほかならない。…

【棘皮動物】より


[形態]
 体は5放射相称になっていて,頭部に相当する部分がない。腹面に口があり,背面中央に肛門が開いていて,その間を管足がでている5歩帯と管足のない5間歩帯とが交互に並んでいる。ヒトデ類やクモヒトデ類は,歩帯の部分が自由に動く腕となって体が星形になったものであり,ウニ類は腕の部分が互いに密着して丸くなり,ナマコ類は口と肛門のあいだがのばされて長くなったものである。…

【ヒトデ(海星∥人手)】より

…はさみとげは細い柄の上に3個の強いつめをもち,これで皮膚を清潔にしたり,保護する働きをしている。 口から各腕の正中線に沿って深い溝が腕の先端までつづき,溝の中には2列または4列に管足が並んでいる。管足は筋肉質に富んだ中空の管で,先端が吸盤になっているが,砂泥地にすむスナヒトデやモミジガイでは管足がくさび形で,吸盤はない。…

※「管足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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