改訂新版 世界大百科事典 「ヨウ素価」の意味・わかりやすい解説
ヨウ(沃)素価 (ようそか)
iodine value
油脂に塩化ヨウ素を作用させたとき,油脂100gに吸収される塩化ヨウ素の量をヨウ素に換算してグラム数で示したもの。ヨード数ともいう。一般に油脂類にヨウ素を作用させると二重結合一つに対しヨウ素2原子が付加するので,油脂の不飽和度を示すことができる。共役二重結合がある場合や,二重結合がCOOH基の近くにある場合など,油脂の分子内の不飽和結合の位置などにより,ヨウ素価は理論値よりやや低い数値となる場合があるが,油脂類の平均の不飽和度を調べる方法として広く用いられている。測定法としてはウイス法が広く用いられ,0.1~1gの試料を四塩化炭素10㏄に溶かし,一塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を正確に加え,よくふりまぜて1時間冷暗所で反応させ,残存の量を滴定により測定,並行して行う空試験との差から計算して求める。有機化合物のヨウ素価は,ステアリン酸0,オレイン酸90,リノール酸181,リノレン酸274。植物油は塗膜の乾燥性と酸化しやすさから乾性油,半乾性油,不乾性油に分類され,対象となる油脂のヨウ素価が130以上なら乾性油,130~100ならば半乾性油,100以下ならば不乾性油である。油脂のヨウ素価は,乾性油のアマニ油170~204,ダイズ油114~138,半乾性油の綿実油88~121,不乾性油のラッカセイ油82~109,植物脂肪のパーム油43~60,ヤシ油7~16,海産魚油のイワシ油163~195,動物脂の牛脂25~60,バター脂25~47である。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報