出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
玄米を搗精(とうせい)して精米をつくるときにとれる外皮と胚芽の混合物。〈米ぬか〉〈小ぬか〉ともいう。多少のデンプンも存在するが,脂肪やタンパク質に富み,リンなどの灰分も多いので,おもに家畜の飼料に利用される。また唯一の国産油脂原料でもあり,脂肪が約20%含まれているので,ヘキサン抽出によって米ぬか油をとる。そのほか,漬物の副材料や肥料にも使われる。また酒造米をつくるときに出るぬか(白ぬか)は,製菓原料などに用いられる。
執筆者:竹生 新治郎
脂質,ビタミンB1,ビタミンEなどに富み,ビタミン剤などの原料とされる。また,ぬかを布袋に詰めたぬか袋は,女性の入浴にはかかせぬものであった。調理上では,あく抜き,漬物,煮物などに用いられる。あく抜きには,ワラビ,ゼンマイ,たけのこなどをゆでる際,水に1割程度のぬかを加える。コロイド溶液の吸着性を利用するもので,効果が大きい。漬物にはぬかみそ漬がある。米ぬかと塩で材料を漬けこむもので,塩をそのままぬかに合わせて漬床にするものをぬか漬,塩水にしてぬかと合わせて漬床にするものをぬかみそ漬と区別することもある。現在,野菜類の場合は塩水にして使い,魚などは塩をそのまま使うことが多い。江戸前期までのぬかみそは,別名を五斗みそ,あるいは後藤みそといい,材料の一部にぬかを加えたみその一種であった。材料の配合には諸説があるが,代表的なのはダイズ,ぬか,米こうじ,酒かす,塩を1斗ずつ用い,短期間に醸造したものであった。また,さらに古くはこれを糂粏(じんだ)と呼んだ。《徒然草》に〈後世を思はん者は,糂汰瓶一つも持つまじきことなり〉とあるのがこれで,汁やあえ物にし,あるいはそのまま食べたものであった。
執筆者:松本 仲子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
玄米を精米するときに生じる副産物。米糠、小(こ)糠ともいう。白米は玄米の外側から、表皮、種皮、糊粉(こふん)層などの部分と胚芽(はいが)を取り除いたものである。この取り除いた部分を糠とよんでいる。精米の程度によって糠の収量が異なり、白米がもっとも多く、以下、胚芽米、七分搗(づ)き米、半搗き米、三分搗き米の順になっている。酒造用の米は精米度が高く、胚乳部も混ざった白い糠がとれる。これを白(しろ)糠とよび、菓子や焼酎(しょうちゅう)の原料に用いる。
[河野友美・山口米子]
糠にはタンパク質が約13%含まれ、そのほか脂質、糖質、無機質ではリンやカリウム、ビタミンではB1とナイアシンが多く含まれる。栄養面からみると食品としての価値が高いが、風味の点で料理素材とはなりにくい。
[河野友美・山口米子]
糠に含まれる脂肪分(約18%)を抽出精製し、米糠油として利用している。リノール酸の多い淡泊な油である。加工用としては沢庵(たくあん)漬け、糠みそ漬けなどの漬物、イワシの糠漬けなどに用いられる。家庭での料理では、糠漬け以外に、タケノコのあく抜きに用いられる。そのほか、家畜の飼料や農作物の肥料として、また、洗顔用の糠袋や、床磨きなどに昔から広く利用されてきた。
[河野友美・山口米子]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…収穫して脱穀されたもみ米は,もみすり機によって玄米ともみがらとに分離される。自然食品として,玄米がそのまま食用に供される場合もないではないが,一般に玄米はさらに搗精(とうせい)機にかけ,周囲のぬか層を除き白米として利用する。米の大部分はこのようにして飯米に供されるが,炊飯や調理の様式は世界各地で多様であり,粒状で食するほかにも,ついて餅とし,あるいは製粉したものをだんごとして食する場合などがある。…
…玄米をついて精白するとき得られる米ぬか(〈こぬか〉または単に〈ぬか〉ともいう)から圧搾抽出法によって採油し,精製した油。ぬか油ともいう。…
※「糠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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