米ぬかに塩を合わせた漬床(つけどこ)で野菜を漬けたもの。ぬか漬ともいう。ぬかみそ漬は1689年(元禄2)刊の《合類日用料理抄(ごうるいにちようりようりしよう)》あたりから見られ,一般家庭の日常用の漬物として普及し,1836年(天保7)刊の《四季漬物塩嘉言(しきつけものしおかげん)》が〈万家ぬかみそ漬のあらざる所もなけれど〉というほどになった。江戸時代はぬか2~3に対して塩1の配合がふつうであったが,現在では6:1くらいの比率にすることが多い。まず塩水を作ってよく煮立てて殺菌し,冷めたところへぬかを入れてみその固さほどに練る。ぬかは半量ほどいっておくとよい。これを1日2~3回ずつ底まで空気が入るようにかき混ぜ,3~4日置いて熟成したところで,季節の野菜を漬けこむ。野菜を出し入れするたびに,床をよくかき混ぜることがたいせつで,風味をよくするために清酒,だしコンブ,トウガラシ,からし粉などを適宜加えてもよい。ところで,この漬床のぬかみそはそれ自体を食べるものではないが,これとは別に食べるぬかみそというものがあった。別名を五斗みそといい,ダイズ,ぬか,米こうじ,酒かす,塩各1斗ずつを原料としたための名だというが,ダイズ2斗,ぬか2斗,塩1斗でつくるとしたものもある。増量材としてぬかを使ったもので,鎌倉時代には糂粏(じんだ)と呼び,広く一般に食用とされていたことが《沙石集》などで知ることができる。漬物用のぬかみそは,この糂粏から派生したかとも思われる。なお,現在ぬかみそ漬をどぶ漬とも呼ぶが,もとはこの両者は別物であった。〈どぶ〉は酒かす,あるいはどぶろくをさしたことばで,どぶ漬も《料理網目調味抄》(1730)では,酒かすに白みそ,ないしは糂粏にどぶろくを混ぜたもので,ウリ,ナスその他を漬けるとしている。それが前記《四季漬物塩嘉言》になると,どぶ漬はぬかみそ漬の別称とされているのである。
執筆者:鈴木 晋一
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…栄養面を見ると,野菜を材料とする漬物はアルカリ性食品であるため酸性食品の中和に役だち,繊維が多いため便通を促すとともに,乳酸菌の働きによる整腸作用があり,かつ,特有の香味が味覚を刺激して食欲増進剤的役割を果たす。漬込み期間の短いものは生野菜に含まれるビタミンCが生かされており,ぬかみそ漬では漬床のぬかからくるビタミンBの含量が高い。
[種類]
材料別にみると,野菜が最も多く,魚貝類がこれに次ぐ。…
※「糠味噌漬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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