系列融資(読み)ケイレツユウシ

デジタル大辞泉 「系列融資」の意味・読み・例文・類語

けいれつ‐ゆうし【系列融資】

銀行自行と結びつきの強い企業に対して重点的に行う融資。第二次大戦後の企業集団形成の要因となった。

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精選版 日本国語大辞典 「系列融資」の意味・読み・例文・類語

けいれつ‐ゆうし【系列融資】

  1. 〘 名詞 〙 銀行などの金融機関が同一系列の企業に融資すること。系列企業の相互間に取引の円滑化を図り、その結合関係を強めるために行なう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「系列融資」の意味・わかりやすい解説

系列融資
けいれつゆうし

金融機関がその系列企業に融資すること。日本では「メインバンク」の文脈のなかで語られる傾向がある。金融機関は資金調達供給を安定的に行うため、系列企業をもとうとする。企業も資金調達を安定的に行うため、主取引の金融機関をもとうとする。この結果、金融機関と企業の間に系列関係が生まれる。両者の系列関係は、株式の取得、人的結合とともに、系列企業への当該金融機関の融資によって具体化される。これが系列融資である。日本では、第二次世界大戦後の経済復興期から高度成長期まで、貸付資金の不足状態が続いたので、主として企業が金融機関に系列化される傾向が強く、これが金融機関融資における系列融資の比重を高める原因となった。しかし、オイル・ショック(1973)以後の安定成長期になると、企業の資金需要が弱くなり、かつ直接金融や海外からの資金調達を含めて資金調達手段の多様化が進んだ結果、系列融資の意義も低下してきている。金融機関は系列企業との関係を深めるために、融資以外に情報提供などのサービスの多様化を図りつつある。

[原 司郎・北井 修]

『三輪芳朗、J・マーク・ラムザイヤー著『日本経済論の誤解――「系列」の呪縛からの解放』(2001・東洋経済新報社)』『星岳雄、A・カシャップ著、鯉渕賢訳『日本金融システム進化論』(2006・日本経済新聞社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「系列融資」の意味・わかりやすい解説

系列融資
けいれつゆうし
financinng to maffiliated commpany

銀行が行う,自行と関係の深い企業に対する融資のこと。戦後の財閥解体後も,旧財閥グループは系列銀行を中心に結束し,銀行も優先的にグループ企業に融資してきた。これが系列融資の代表的な例といえる。旧財閥系以外でも戦後,高度成長下の企業の旺盛な資金需要に対応するため,優良企業を銀行が自分の影響下におき,そこに集中融資する傾向を強めてきた。企業側にとっても,有力銀行のグループの中に入れば,有利な条件で銀行融資を受けることができ,双方持ちつ持たれつの関係が系列関係を形成してきた。

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百科事典マイペディア 「系列融資」の意味・わかりやすい解説

系列融資【けいれつゆうし】

同じ企業グループに属する企業に,銀行などの金融機関が重点的・優先的に融資をすること。日本のように,資金面で銀行借入の比重が高く,しかも設備融資が常態であると,企業に対する取引先銀行の権威は大きく,その意向は無視できない。このような関係が成立しているとき,企業は銀行の系列下にあるという。→企業系列

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世界大百科事典(旧版)内の系列融資の言及

【企業グループ】より

…この社長会は秘密会で,法的な拘束力はもたないが,しかし株式相互持合いを基盤にした人的組織である以上,事実上の大株主会としての性格をもっている。(3)系列融資 各企業集団の中核メンバーには都市銀行がなっており,これが,同一グループの信託銀行,生命保険会社などと協力して,グループ・メンバーの企業に系列融資を行っている。一般に系列融資を行う銀行をその企業にとってのメイン・バンクと呼ぶが,企業集団メンバーのメイン・バンクには中核銀行がなっており,その地位が変動することはめったにない。…

【コンツェルン】より

…財閥は,戦後,連合軍によって解体されたが,1950年代に入って〈企業集団〉という形で復活した。それは,〈社長会〉を構成する企業間の株式相互持合いによる円環型構造であり,同系金融機関からの〈系列融資〉が支配的である。また〈ワンセット主義〉的投資行動をとり,ほとんど全産業に進出し,〈社長会〉構成企業間で役員派遣による人的関係がある。…

※「系列融資」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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