出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
各納税者(個人,法人)に番号をつけ,その番号によって各納税者に関する資料を収集し,その所得を集計する制度。たとえば,納税者は,預金口座を開設する際にその納税者番号を金融機関に通知しなければならず,金融機関は,税務署に提出する支払調書に利子支払の相手方の氏名のみでなく,その納税者番号をも記入しなければならないこととすれば,たとえ預金がペンネームや架空名義で行われていても,税務行政庁は支払調書を納税者番号によって整理することにより,だれにどれだけの預金があり,またどれだけの利子所得があるかを正確に把握することができる。そのため,この制度は,脱税を防止し,所得を正確に把握するために大きな効用を発揮しうる。この制度は,アメリカでは,1961年から行われており,社会保険番号が納税者番号として用いられている。納税者番号制度は,ほかに,カナダ,オーストラリア,北欧諸国,イタリアでも採用されており,日本でも所得の正確な把握のために採用すべきかどうかが問題となっている。
執筆者:金子 宏
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(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2008年)
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…給与所得なら最高で75%の累進税率がかけられるのに,利子・配当なら最高でも35%ですむのは,不公平税制の典型ではないか,という批判である。この批判にこたえて総合課税に移行するためには,アメリカで採用されている納税者番号制度が最も有効とされ,日本でもグリーンカード(少額貯蓄等利用者カード)制の導入が図られたことがあった。 その後1987年の改正により,少額預貯金の利子の非課税制度が原則的に廃止(老人等に係る利子所得については非課税)され,利子課税制度の見直しがなされた。…
※「納税者番号制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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