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紙布 シフ

デジタル大辞泉の解説

し‐ふ【紙布】

和紙を細く裁断し、よりをかけて作った紙糸で織った織物縦糸横糸ともに紙糸を使った「諸(もろ)紙布」のほか、縦糸に綿糸絹糸、横糸に紙糸を使ったものもある。夏の着物地・帯地などに用いられた。宮城県白石・静岡県熱海の産。紙布織。

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百科事典マイペディアの解説

紙布【しふ】

コウゾなどを原料とする和紙を千鳥状に細長く裁断し,1枚の紙を1本の長いこよりにして織物にしたもの。宮城県白石(しろいし)の紙布は江戸時代から白石紙布として知られ,おもに夏の衣料とされた。
→関連項目白石[市]

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世界大百科事典 第2版の解説

しふ【紙布】

特殊織物の一種。経緯とも紙撚糸を使い平織,斜子織,綾織などに織ったもの,経に綿糸,絹糸,麻糸,緯に紙撚糸を使ったものもすべて紙布と呼ぶ。経緯使いを諸紙布といって帽子に用い,経に綿糸,緯に紙撚糸を使ったものは紙布襖張地に用いる。古くは和紙をよくもみ,細く切って撚りをかけた糸で縞,格子,霜降りなどに織った。江戸時代には,仙台藩白石(しろいし)産が多く,白石紙布として著名であった。左撚り,右撚りと分け,紙布縮緬,先染紙布,型染のものもあった。

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大辞林 第三版の解説

しふ【紙布】

紙縒こより糸で織った織物。経たて糸を綿糸・絹糸とするものもある。軽いので夏の衣服地とされ、また帯地・袋物などにも用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

紙布
しふ

ミツマタ(三椏)、コウゾ(楮)、ガンピ(雁皮)などの繊維を漉(す)いて和紙とし、これを千鳥状に紙の一部を残し、細く裁断して紙縒(こより)とし、これをつなぎ合わせて織物に織ったもの。抄繊(しょうせん)織物、紙(かみ)織物ともいう。これとは別に洋紙から製作したものもあるが、紙布に含めないのが普通である。紙布の種類には、経緯(たてよこ)とも紙糸(かみいと)を使ったもの、経に絹または木綿(もめん)を使い、緯に紙糸を打ち込んだもの、絹織物の一部に紙糸を使い、紅梅織にしたものがある。
 紙布を製作するには、靭皮(じんぴ)繊維をとったのち、紙漉きと同じ工程で繊維をそろえるようにして紙を漉く。これをまな板の上で包丁を使い細く千鳥状に裁断したのち、よくもんで糸績(う)みをする。1枚の紙は1本の糸となるが、ときには長さ120メートルに及ぶものさえできる。これを糸車あるいは撚糸(よりいと)八丁車で撚りをかけ糸染めののち高機(たかばた)によって織り仕上げをする。なお群馬地方では居座機(いざりばた)によっていた。
 このような生産は、原料の和紙生産と関係があるため、それぞれの和紙生産地で副業的に行われたとみられるが、そのうち宮城県白石(しろいし)でつくられたものは、江戸時代から白石紙布として知られており、また雁皮(がんぴ)紙を使った紙布は熱海(あたみ)特産であったし、新潟、島根、山口県など、和紙生産地でもつくられていた。白石産のものは、片倉藩の保護のもとに家臣の手内職として発達し、片倉家から将軍へも献上され、夏の礼服から、下級武士、農民が使用する実用着まで各種に分かれ、浴衣(ゆかた)、夏羽織、裃(かみしも)、帯、蚊帳(かや)、頭巾(ずきん)、脚絆(きゃはん)など広範囲に及んでいた。
 しかし、明治以後はほかの織物の進出のため衰退し、大正初期以降、衰微もその極に達したが、1941年(昭和16)に奥州白石工芸研究所の手によって復興された。また第二次世界大戦のとき、衣料不足から洋紙の原料を使って紙布を織り出し、衣料、蚊帳などになったが、一時的な生産に終わった。
 各地の和紙生産と関連して生産された紙布は、白石紙布のように商品化されたものではなく、農民の衣料として自家消費用につくられたにすぎない。近年になって紙布を民芸的に生産しようとする意向があり、京都府下の黒谷(くろたに)のように、一部の地域で小規模に生産されるようになった。紙布は綿織物と品質的によく似ており、一般に考えるよりも耐水性に優れ、耐久力があり、染色性もよいので広く需要があり、縮緬(ちりめん)、絽(ろ)、綾(あや)など多くの組織がつくられ、他の織物と同じように使われていた。[角山幸洋]

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