紙帳(読み)シチョウ

デジタル大辞泉 「紙帳」の意味・読み・例文・類語

し‐ちょう〔‐チヤウ〕【紙帳】

紙をはり合わせて作った蚊帳かや防寒具にも用いた。 夏》ちりの身とともにふはふは―かな/一茶

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精選版 日本国語大辞典 「紙帳」の意味・読み・例文・類語

し‐ちょう‥チャウ【紙帳・紙張】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 白い紙を張り合わせて作った蚊屋。上からつるものと、頭からかぶるものとがあった。また、冬には防寒用にも用いられた。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「為蚊紙帳用意之。〈略〉為養性第一事也」(出典:経覚私要鈔‐文安四年(1447)四月二日)
    2. 「米櫃(こめひつ)は物淋しく、紙帳(シチャウ)もやぶれに近き進退」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)三)
    3. [その他の文献]〔蘇軾‐贈月長老詩〕
  3. 原稿などの枚数。紙幅。
    1. [初出の実例]「編巻は、略其記事の紙張によりて分つ、別に意旨あるに非ず」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紙帳」の意味・わかりやすい解説

紙帳
しちょう

紙製蚊帳(かや)。紙布を糊(のり)付けして張り合わせてつくる。『守貞漫稿(もりさだまんこう)』(1853序)には図入りで掲げられ、上部が狭く下部が広くなっているものが江戸で売り物とされたこと、あちこちを地紙(じがみ)形(扇形)、団扇(うちわ)形などに切り除き紗(しゃ)を張ってふさぎ使ったことなどが述べられている。『理斎(りさい)随筆』(1823序)には、安価で寝姿が見えないなどと、紙帳の十徳が説かれている。石見(いわみ)(島根県)の山村では明治末まで蚊帳として使用されたし、会津(福島県)では柿渋(かきしぶ)で補強した紙布を敷き、作業用としてカヤとよばれる紙帳を吊(つ)り、その中で紙製の帽子をかぶって、製蝋(ろう)用のキノミ(漆の実)搗(つ)きをしたという。

天野 武]


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普及版 字通 「紙帳」の読み・字形・画数・意味

【紙帳】しちよう(ちやう)

紙のとばり。宋・成大〔宴坐、四首、三〕詩 一點の斜光、紙帳らかに 悟知す、檐雀(えんじやく)の已に(うが)てるを

字通「紙」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の紙帳の言及

【蚊帳】より

…麻糸で1枚の蚊帳をつくるには非常な手間と日数を要し,主婦が1張の蚊帳をつくることは男が一代で家を建てることに匹敵する功労といわれた。蚊帳にはこのほか木綿の綿帳,紙製の紙帳もあり,幼児用の折りたたみ式幌蚊帳もある。綿帳,紙帳は麻蚊帳の買えない人や雇人用として用いられたが,そればかりでなく綿帳は冬の防寒用に,また紙帳は塗師がほこり除け用としても利用した。…

※「紙帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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