株式会社において、2人以上の取締役を同時に選任する場合に、株主が1株について選任すべき取締役の数と同数の議決権を有し(3人取締役を選任するときは1株につき3票)、その議決権を1人にだけ集中投票してもよいし、また数人に分散投票してもよく、その結果、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任する方法。一種の比例代表制を認めたもので、1950年(昭和25)の商法改正で、アメリカ法に倣って採用した(旧商法256条ノ3、会社法では342条1項・2項)。通常の決議方法によれば、ひとりひとりにつき別々に選任の決議がなされるため、多数派がその全員を選出できるが、この方法によれば、少数派もその有する株式数に比例して取締役を選任できるから、少数株主の保護になる。累積投票制度を使いたい場合には、株主は会社に対して株主総会の5日前までに、累積投票制度をとるように請求しなければならない(会社法342条2項)。
[戸田修三・福原紀彦]
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