細川忠興(ただおき)の夫人。キリシタン婦人としても著名。ガラシャは教名で、本名は「玉(たま)」。明智光秀(あけちみつひで)の娘で、織田信長のとりなしによって、細川藤孝(ふじたか)(幽斎(ゆうさい))の嫡男与一郎(よいちろう)忠興に嫁した。丹後(たんご)(京都府)の宮津で過ごす間、聡明(そうめい)な玉は禅宗について学ぶところがあったが、本能寺の変(1582)が起こり、反逆人の娘として丹後の味土野(みとの)に幽閉された。やがて大坂の細川邸に戻ることを許されたが、そこで夫の忠興からキリシタン宗門について間接的に教わるところがあり、心をひかれる。ついで1587年(天正15)、忠興が九州征伐に従軍のため不在の間に大坂の教会を訪れ、また侍女を通じて教理を学び続け、ガラシャの教名で侍女から受洗した。その後、邸内でキリシタンの信仰を深めたが、1600年(慶長5)関ヶ原の戦いにおいて夫忠興は徳川方についたので、ガラシャは豊臣(とよとみ)方より人質として大坂入城を強要され、大坂玉造(たまつくり)の細川邸において石田勢に囲まれる間、家臣の手で自らの命を絶った(7月16日)。
[松田毅一 2018年3月19日]
『ヘルマン・ホイヴェルス著『細川ガラシア夫人』(1966・春秋社)』
安土桃山時代の女性。本名たま。ガラシャ(伽羅奢)はキリスト教受洗名。諡号(しごう)は秀林院。明智光秀の次女。母は妻木勘解由左衛門範凞女。1578年(天正6)織田信長の命令で細川忠興に嫁す。82年父光秀が本能寺で信長を殺し,細川藤孝・忠興父子は光秀の誘いを退け,たまは丹後国味土野(みとの)に幽閉させられた。その後,豊臣秀吉の命により許され,夫のもとに戻った。87年,かねて高山右近がキリスト教の教義について語るのを忠興より聞いて関心をもち,忠興が島津征伐のための出陣中に屋敷を抜け出し,大坂の聖堂に行き伝道士の教示を聞いた。その後は文書を通して信仰を深め,侍女たちに洗礼をうけさせ,その侍女によって洗礼をうけた。2子2女も受洗させ,熱心な信者であったという。1600年,石田三成が徳川家康の東征に従った諸将の妻子を人質にしようとしたとき,自害したという。一周忌は大坂の聖堂で行われた。
執筆者:高木 傭太郎
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1563~1600.7.17
織豊期の女性キリシタン。明智光秀の女,細川忠興の室。名は玉子。1582年(天正10)本能寺の変後,丹後国味土野(みとの)に幽閉されるが,84年豊臣秀吉に許されて大坂の細川邸に移る。忠興が高山右近の友人だったことからキリシタンの教えに関心をもつ。87年忠興が九州出陣中に大坂の教会を訪問。侍女の清原枝賢(えだかた)の女に教理を学ばせ,侍女は受洗してマリアと称した。同年マリアから受洗,洗礼名ガラシャ。1600年(慶長5)関ケ原の戦に際し,石田三成(みつなり)に細川邸を囲まれ,家老にみずからを討たせた。
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…安土桃山時代の武将。明智氏は美濃土岐の一族だが,光秀は初め越前の朝倉義景に仕え,そして足利義昭が朝倉氏のもとに流寓したとき出仕し,ついで織田信長の家臣となり義昭の上洛に尽力,義昭と信長に両属して申次(もうしつぎ)を務め,京都の施政にも関与した。室町幕府滅亡後は信長に登用され征服戦に参加,1571年(元亀2)近江坂本城主となり,75年(天正3)惟任(これとう)日向守と称し,丹波の攻略に着手,79年八上城の波多野秀治らを下して平定し,80年亀山城主となり,ついで細川藤孝,筒井順慶,中川・高山諸氏を与力として付属され,京都の東西の要衝を掌握,美濃・近江・丹波の諸侍や幕府旧臣を中核とする家臣団を形成した。…
…京都府北部,竹野郡の町。人口6125(1995)。丹後半島中央部に位置する。中央に金剛童子山(613m)がそびえ,東麓を宇川,西方を竹野川が各々北流し,竹野川流域に平野が開ける。金剛童子山は役行者(えんのぎようじや)が開いたと伝え,修験の行場があった。《丹後国風土記》逸文にみえる羽衣伝説にまつわる奈具(なぐ)神社や,溝谷神社など式内社がある。中世には石清水八幡宮領黒戸(くろべ)荘,国衙領野間村,皇室領船木荘などが設置されていた。…
※「細川ガラシャ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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