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永井路子 ナガイミチコ

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デジタル大辞泉の解説

ながい‐みちこ〔ながゐ‐〕【永井路子】

[1925~ ]小説家。東京の生まれ。本名、黒板拡子(くろいたひろこ)。正確な時代考証と鋭い現代的感覚を併せ持つ歴史小説で、多くの読者を得る。「炎環」で直木賞受賞。他に「雲と風と」「北条政子」「つわものの賦(ふ)」など。

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

永井路子【ながいみちこ】

小説家。本名黒板拡子(ひろこ)。東京生れ。東京女子大国文科卒。小学館に入社,退社後司馬遼太郎黒岩重吾らの《近代説話》同人となり,《炎環》(1964年)で直木賞受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

永井路子 ながい-みちこ

1925- 昭和後期-平成時代の小説家。
大正14年3月31日生まれ。小学館にはいり,雑誌を編集するかたわら「近代説話」同人となる。昭和40年「炎環」で直木賞,57年「氷輪」で女流文学賞,63年「雲と風と」などで吉川英治文学賞。その歴史小説は時代考証のたしかさと小説形式のユニークさに定評がある。平成21年「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら」で毎日芸術賞。夫は歴史学者の黒板伸夫。東京出身。東京女子大卒。本名は黒板拡子(ひろこ)。作品はほかに「望みしは何ぞ」など。

出典|講談社
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

永井路子
ながいみちこ
(1925― )

小説家。東京生まれ。本名黒板擴子(くろいたひろこ)。1944年(昭和19)東京女子大学国文科卒業。49年小学館に入社。当時創刊準備中だった『女学生の友』の編集に携わる。52年『サンデー毎日』の懸賞小説に「三条院記」が2席入選、ついで54年第3回オール新人杯(『オール讀物』新人賞の前身)に「下克上」で応募、2席となり『オール讀物』3月号に掲載される。58年『週刊新潮』に「女の復讐」を発表、これより筆名を永井路子とし、本格的創作活動に入るが、61年「青苔記(せいたいき)」が第45回直木賞候補となったのを機会に小学館を退社。最終職歴は月刊誌『マドモアゼル』の副編集長だった。
 その後62年に、司馬遼太郎、黒岩重吾、伊藤桂一など直木賞作家を多数輩出した同人誌『近代説話』の同人となり、64年、同誌に発表した3編にもう1編を書き加えた連作短編集『炎環』で第52回直木賞を受賞する。このとき、選考委員の一人だった海音寺潮五郎は「歴史小説の正統派がはじめて直木賞を得たことを一きわよろこびとしたい」と述べて絶賛するとともに、永井文学の特質を端的に示した。永井の小説の特徴は、時代考証と史料検索の綿密さに加え、斬新な歴史解釈をほどこしているところにある。
 受賞作は源氏から北条氏へと移り変わる時期の時代相を浮かび上がらせたもので、権勢の座をめぐって陰湿な野望を抱く北条一門のせめぎ合いが見事に描かれていた。また、作中で源実朝(さねとも)暗殺の黒幕が三浦義村だったという作者の見解に対し、歴史学者の石井進(1931―2001)は『日本の歴史・鎌倉幕府』のなかで「まことに正しい見かただとおもう」と述べ、永井の歴史認識と解釈の鋭さを高く評価している。
 この『炎環』で歴史小説作家の地位を不動のものとした永井は、以後一連の「鎌倉もの」と呼ばれる作品で、鎌倉時代への独特のアプローチを示す。鎌倉時代を中世の幕開けの時代と位置づけ、封建道徳が新しいモラルとして生まれるなど、鎌倉幕府の成立は戦国期や幕末以上に日本史上でもまれな変革期であったととらえたのだ。のちに永井は鎌倉ものの集大成ともいえる史伝『つわものの賦』(1978)のなかで「もし日本に真の変革の時代とよべるものがあったとしたら、この時代を措(お)いてないのではないか、という思いが、今は確信に近いものとなっている」と記し、鎌倉時代への執着と愛情を吐露している。そうした思いは初期代表作の『北条政子』(1969)に結実しているが、この作品はまた永井文学のもう一方の柱である女性史からの視点も取り入れた画期的作品であった。歴史のなかでは脇役として扱われてきた女性たちが、本当に生きて呼吸する姿を、同じ女性としての眼でとらえ直して、いま一度歴史の流れを検証したいという姿勢である。この系列の作品を歴史に沿って挙げると、古代の元正女帝を描く『美貌の女帝』、平清盛の妻を描いた『波のかたみ』(ともに1985)、室町期の日野富子を扱った『銀の館』(1980)、お市の方を描いた『流星』(1979)、豊臣秀吉の妻おねを主人公とする『王者の妻』(1971)、細川ガラシャを描く『朱なる十字架』(1971)、お市の方の末娘で淀君の妹おごうを描いた『乱紋』(1974)等々、新しい視点で女性の立場と生き方を描き出す作品群がそれだ。この姿勢は小説だけではなく『歴史をさわがせた女たち』(1972)などの歴史随筆でも大いに発揮される。
 永井はこれら独自の史観により古代から鎌倉、江戸、明治期までの歴史を見つめ、活動領域を広げた。82年には鑑真(がんじん)和尚渡来以後の、日本人の仏教受容問題と天平文化の諸相を描いた『氷輪』で女流文学賞を受賞。84年には「難解な史料をもとに複雑な中世社会のすがたを歴史小説に導入して新風をもたらした」ことで菊池寛賞を受賞。さらに88年には『雲と風と』ほか一連の歴史小説によって吉川英治文学賞を受賞するなど、その活躍はつねに注目されてきた。またテレビ、ラジオなどの歴史番組のコメンテーターとしても活躍し、97年(平成9)には放送文化賞を受賞している。これら一連の永井の足跡は、過去を題材にとりながらも、現代的な視点を取り入れた感覚の鋭さに支えられているのはいうまでもない。[関口苑生]
『『永井路子歴史小説全集』全17巻(1994~96・中央公論社) ▽『炎環』『つわものの賦』『北条政子』『美貌の女帝』『銀の館』『流星』『朱なる十字架』『乱紋』『歴史をさわがせた女たち 日本篇・庶民篇・外国篇』『新・歴史をさわがせた女たち』(文春文庫) ▽『氷輪』『雲と風と』『波のかたみ』(中公文庫) ▽『王者の妻』(PHP文庫)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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