細布(読み)ホソヌノ

デジタル大辞泉 「細布」の意味・読み・例文・類語

ほそ‐ぬの【細布】

幅の狭い布。奥州特産であった。
一生の願ひに―の赤ふんどし一筋ほしや」〈浮・織留・六〉
細布ごろも」の略。
十七八さをに干いた―」〈虎寛狂・節分

さい‐ふ【細布】

綿織物一種。縦横ともに細い糸で細かく平織りにしたもの。シーツ・家具カバーなどに使う。
奈良平安時代、細い麻糸などで織った上質の布。

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精選版 日本国語大辞典 「細布」の意味・読み・例文・類語

ほそ‐ぬの【細布】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 細い糸で織った高級の布。
    1. [初出の実例]「新羅〈略〉調貢れり。金銀銅鉄鹿の皮細布(ホソヌノ)の類(たくひ)、各数有り」(出典日本書紀(720)天武一〇年一〇月(北野本南北朝期訓))
  3. 幅のせまい布。奥州の特産であった。
    1. [初出の実例]「錦木はたてながらこそ朽ちにけれけふのほそ布胸あはじとや〈能因〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)恋一・六五一)
  4. ほそぬのごろも(細布衣)」の略。
    1. [初出の実例]「ほそ布のせんたくをする賤かやに けふの郡のけふのさむさよ〈徳元〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一〇)

さい‐ふ【細布】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 奈良・平安時代、細い糸で織った布。原料は麻、紵など。上質の布。一般の調布よりも幅が狭く、一端の長さが長く軽い。
    1. [初出の実例]「去京遙遠、貢調極重。請代細布、頗省負担。其長六丈」(出典:続日本紀‐和銅七年(714)二月庚寅)
  3. 綿織物の一種。経(たていと)(よこいと)とも二〇番ないし二四番ぐらいの細い単糸を、細かく平織にしたもの。
  4. さいみ(貲布)

ほそ‐め【細布】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「め」は食用になる海藻総称 ) =ほそめこんぶ(細布昆布)
    1. [初出の実例]「納殿より、ほそめ、さとめ、むらさいのりなど出す」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細布」の意味・わかりやすい解説

細布
さいふ

綿織物の一種で,経糸,緯糸いずれも 20~26番手の糸を使った平織の布。風合い粗布金巾との中間程度とされる。綿織物の低級品で,寝具ふろしきなどや日おおい,袋物などに使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の細布の言及

【着物】より

…農民は特殊なものでないかぎり紬以上を禁じられた。武家の下僕は豆腐をこす袋や暖簾(のれん)に使う細布(さいみ)(糸の太い粗布)を紺に染めて着,民間の下僕は生平(きびら)(さらさない麻布)を着た。一般の民衆は麻または木綿を常用した。…

※「細布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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